日産でまた不正発覚、露呈した甘い規範意識 国内19車種で燃費や排ガスデータを改ざん

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日産の山内CCOは、不正が行われた車種であっても保安基準に適合していると強調したが、不正の動機や背景については調査中として明言を避けた(撮影:大澤 誠)

今回の不正に関与していたのは現時点では計10人としており、不正マニュアルなどの存在は確認されていない。日産によると、残されていた信頼性があるデータを用いて再検証した結果、生産台数が少ない「GT-R」を除いた全車種について、保安基準に適合していることを確認したという。山内CCOは「カタログで公表している燃費の数値に誤りはない」と強調した。リコール(回収・無償修理)はしない方針だ。

不正の動機について、山内CCOは「再検査を避けるために、不正行為をしていたのではないかと推測される」と述べたが、調査中として明言を避けた。日産は外部の法律事務所に調査を委託し、動機など不正に至った原因の究明を進めている。1カ月後をメドに調査結果を公表する方針だ。

再発防止に取り組む中で不正発覚

会見では、不正の時期に記者の注目が集まった。データが保存されている範囲で調査した結果、不正は遅くとも2013年4月以降に始まり、山内CCOに不正が報告された今年6月19日まで行われていた。

日産が7月9日に開いた会見には多くの記者が集まった(撮影:大澤 誠)

日産では昨年9月、完成検査における無資格検査問題が発覚し、114万台のリコールに発展したうえ、約20日間の生産・出荷停止に追い込まれた。その後、法令順守など従業員に対する再教育を徹底することを含めて再発防止策を進めてきた。だが、再教育を無視するかのように、別の不正が続いていたことになる。

山内CCOは「完成検査問題以降も続いていたことは、この問題の根深さと、我々の(再発防止の)活動が道半ばであると認識している」と述べ、社内にはびこる規範意識の低さを認めざるを得なかった。

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