小泉・小沢「恩讐を超えた共闘」のインパクト 「安倍首相批判」と「脱原発」で急接近

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首相の「政治の師」でもある小泉氏だが、ここにきて原発政策だけでなく独裁的な首相の政治手法に真っ向から異議を唱え、首相の「3選」についても「国民の信が得られない」などと手厳しい批判を展開する。また、来年「国会議員50年」という数少ない"レジェンド政治家"となる小沢氏も、「安倍政権打倒に最後の政治生命をかける」と公言している。

その一方で、「小泉2世」として2009年衆院選で初当選して政界にデビューした次男の小泉進次郎氏(筆頭副幹事長)は、いまや国民的人気では他の追随を許さず、「近い将来の首相就任は確実」とされる自民党の大スターとなっている。その進次郎氏も、党執行部の一員でありながら、首相批判ともとれる言動が目立つ。

もちろん「どちらも『政治家としての考えや行動は一切関係ない』と繰り返す親子」(進次郎氏周辺)だが、6月10日の新潟県知事選で進次郎氏が与党候補の応援に入らなかったのは「野党統一候補を推す父親への配慮」(自民選対)とされる。このため、永田町では「進次郎氏の政治行動には父親の影響が大きい」(閣僚経験者)との見方が少なくない。

進次郎氏はここにきて、政策提言を目指すグループを次々と作り、ことさら存在をアピールしている。同氏が主導した5日の超党派議連「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」(会長・浜田靖一元防衛相)では、持論の国会改革の実現に強い意欲を示した。進次郎氏は6年前の総裁選では石破茂氏を支持した経緯があり、党内では「9月の総裁選での最大のキーマン」とみる向きが多い。

首相サイドで「首相が総裁3選後の内閣改造人事で、進次郎氏を入閣させる」(細田派若手)との人事情報がささやかれるのも、「進次郎氏が父親の意に従って反安倍陣営に回ることへの露骨なけん制」(自民幹部)とみられている。

歴戦の老一匹狼のタッグに1強首相もいら立つ

昨年、「後期高齢者」入りした小泉、小沢両氏だが、安倍政権を支える両輪の麻生太郎副総理兼財務相は1940年生まれの77歳、二階俊博自民党幹事長は1939年生まれの79歳と両氏より年長だ。国民全体の平均寿命が延び続ける中「小泉氏も小沢氏も、政治家としてまだまだ枯れる歳ではない」(自民長老)のも事実。

もちろん、首相サイドは「政界の老いた一匹狼同士が手を組んでも、影響は限られる」(側近)と余裕を見せる。ただ、小泉、小沢両氏とも「政治は何が起こるか分からない」を持論とし、幾多の権力闘争を乗り越えてきた歴戦の猛者だけに、今回の"恩讐を超えた共闘"が、総裁選圧勝での1強維持を狙う首相の神経をいら立たせることは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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