山手線の「兄弟」を続々と生むメーカーの実力 JR東日本の子会社、「通勤車両」で得意技光る
今年2月から「京王ライナー」として運行している京王電鉄の新型車両「5000系」と、今春から田園都市線で運行を開始した東京急行電鉄の新型車両「2020系」、そしてJR山手線の新型車両「E235系」には、ある共通点がある。これら3つの車両のルーツは同じ。いずれも共通のプラットホーム(基本部分)を基に開発されている。製造したのは、JR東日本(東日本旅客鉄道)の子会社である総合車両製作所である。
同社のスタートは2012年。比較的歴史の浅い会社だ。もっとも、そのルーツはかつての老舗車両メーカー、東急車輛製造にさかのぼる。名前のとおり、もともと東急グループの一員であったが、主要事業である鉄道部門をJR東日本が譲受して発足。その後、JR東日本がそれまで通勤車両の製造を行っていた新潟県の新津工場を継承し、規模を拡大した。
売り上げ比率はJR向けとそれ以外が半々
「JR東日本のノウハウを活用した総合的な技術力を持っていることから、総合車両製作所という名前にした」と宮下直人社長は言う。英語社名はJ-TREC(ジェイトレック、Japan Transport Engineering Company)だが、「最近は国内でもJ-TRECと呼ばれることが多い」と笑う。確かに総合車両製作所という堅苦しい名前よりもJ-TRECのほうが呼びやすそうだ。
初年度の売上高は214億円程度にすぎなかったが、2018年3月期の売上高は557億円。会社発足6年で業界4位の近畿車輛と肩を並べるレベルに成長した。JR東日本のグループ再編で新津工場を取り込んだことも奏功した。その結果、「売り上げの約半分がJR東日本向け。ちょっとだけJR東日本向けのほうが多いかな」(宮下社長)。
業容拡大のためにはJR向け以外の売り上げを増やしていきたいところだ。そのため同社は通勤車両の拡販を狙う。もちろん、JRの通勤車両を製造していることが強烈なアピールポイントになるが、セールスポイントとしているのはむしろ、冒頭に挙げた「プラットホームの共通化」だ。
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