山手線の「兄弟」を続々と生むメーカーの実力 JR東日本の子会社、「通勤車両」で得意技光る

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「サスティナ」の技術を使って製造中の通勤車両(写真:総合車両製作所)

自動車業界などで見られるプラットホーム戦略とは、車体の基本部分の仕様をできるだけ共通化することによってコスト削減を図る取り組みだが、この動きが鉄道業界にも波及している。海外の大手メーカーは、独シーメンスの「デジロ」「ベクトロン」、仏アルストムの「コラディア」などのように共通プラットホームを持つ標準車両をブランド化して鉄道事業者に売り込んでいる。

J-TRECも自社の標準車両を「sustina(サスティナ)」というブランドで営業展開している。同社はステンレス製車両を得意としているため、JIS(日本工業規格)でステンレス鋼材の材料記号を意味する「SUS」と、英語で「維持しやすい」を意味する「sustainable」にちなんだという。

JR山手線の新型車両「E235系」の車内に貼られた「サスティナ」のロゴマーク(右下)。J-TRECのブランドとして浸透を狙う(撮影:尾形文繁)

日立製作所や川崎重工業も自社の標準車両にブランド名をつけて、鉄道事業者に売り込んでいる。標準車両をベースに開発することにより開発費用を低減できるという点では各社共通だが、サスティナの場合は、JR東日本の車両保守のノウハウをふんだんに活用して、導入後のランニングコストも削減できるのが強みだ。

「サスティナ」指名買いは増えるか

冒頭で挙げた3つの車両だけでなく、東京都営地下鉄「5500形」、静岡鉄道「A3000形」、さらに今後登場するしなの鉄道の新型車両もサスティナだ。「ようやく各社で実車が走るようになり、これがサスティナなのか、と理解してもらえるようになってきた。将来は、“サスティナで”とご指名いただけるようになりたい」と宮下社長は期待する。

総合車両製作所も生産の一翼を担う北陸新幹線の「E7系」(撮影:尾形文繁)

通勤車両以外の展開はどうなのだろうか。たとえば、新幹線。東急車輛は「0系」をはじめ国鉄時代の新幹線車両を多数製造してきたが、JR発足以降はその数を大きく減らした。しかし、2014年の北陸新幹線「E7系」製造では、川重、日立に加え、J-TRECも生産の一翼を担っている。「ほかのメーカーに後れを取っていたので、キャッチアップを進めている」(宮下社長)。

JR東日本は次世代新幹線の試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」の開発を発表しており、完成は2019年春の予定だ。開発メーカーはまだ明らかにされていないが、J-TRECも開発陣に加わっている可能性がある。だとすると、将来の新幹線量産車の製造にJ-TRECが大きく貢献することになる。

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