リリ-・フランキー「絶望している人たちへ」 5年のひきこもり経験から思うこと

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自身の引きこもり経験についても語ったリリー・フランキーさん(写真:石井志昂)

リリー:わかる。オレはいまでも「仕事に行かねば」と思うとゲリになる。

当事者C:そういう「身体の反応」に素直に従っていけば、生きやすさにつながるのではないかと思いませんか?

リリー:安心してください。もう少し年を重ねると、つねに眠いし、つねに腹が痛くなります。どんなに楽しいことが起きても、どんなにイヤなことが起きても、もう身体がバカになってしまい、身体のジャッジがあてになりません。俺なんて、この前、友だちと飲んでいて、めちゃくちゃたのしかったのにウンコを漏らしたからね。こんなオレは身体に聞いてもダメ。さっきの話と同じで「これなら大丈夫」という予想はアテになりません。

当事者D(20代・女性):今日は本気で悩みをぶつけていいと言われているので、本当に悩んでいることをお聞きします。最近、バイト先で知り合った彼氏と別れました。でも、そいつがすぐにバイト仲間の女性と付き合い始めたんです。それも私より体重が20キログラムぐらい重い女と!

リリー:「もうちょっと体が重いほうがいいな」と彼は思ったんだろうね。

当事者D:なんか私、妙に腹立たしくて、負けたくないと思って、彼に「私を大事にして!」と言ってしまったんです。よりを戻したいわけじゃないし、そんなことを言うのも筋違いなんだけどワケがわからなくなってしまって……。私の身になにが起きたんだと思いますか?

リリー:それはハタチのネーチャンの悩みです。不登校とはいっさい関係ありません。一点思ったのは「大事にして」というのは本心じゃない気がします。本当は「あんな奴、死ねばいい」とさえ思ったでしょう。それは心が健全な証です。つまり、あなたは大丈夫! ということで、次の人どうぞ。

父に「働くか、死ね」と言われSM嬢も

当事者E(20代・女性):それでは質問します。私も小学4年生から不登校をしておりまして、小さいころより父から「学校へ行けないなら働くか、死ね」などと言われて育ってきました。その後、働ける年齢になりましたが、いざ働いてみても長続きしません。いろんな職種も試してみました。かりんとう屋さんとか、SMクラブの女王様とか……。

リリー:ちょっと待て! かりんとう屋さんと女王様のあいだには、もっとたくさんの降りるべき駅があるというか、ふり幅がでかくて話が入ってこない(笑)。

当事者E:ああ、すみません。職種に深い理由はなく、いろいろと試した結果、ダメだったという話です。そのなかで一番感じているのは、仕事が続けられない自分はどう考えてもひきこもりなのに、その自分が受け入れられない、ということです。リリーさんもひきこもっていたと聞きましたが、どんな状況だったのでしょうか?

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