東海道と東北・上越新幹線、なぜ直通しない?

国鉄時代にはあった乗り入れ計画

では、かつてJR東海が主張したという「直通列車の利用者は、極めて少ないと見込まれる」との言葉通り、東海道新幹線とJR東日本の新幹線とを乗り継ぐ人は少ないのだろうか。JR東海とJR東日本に両社の新幹線の間にある改札の通過状況を尋ねてみたところ、すぐに出せるデータはなく、わからないとのことであった。

だが、東北・上越新幹線の東京駅開業時、JR東海の須田寛社長(当時)は「一日三十万人の利用客のうち(東北・上越に)乗り継ぐ乗客は九千人しかいない。お客のニーズは少ない」とコメントしている(日本経済新聞1991年6月21日付朝刊)。

路線の性格も大きく違う

また、東海道新幹線とJR東日本の新幹線は、列車の編成も大きく異なる。東京―名古屋―新大阪間のピストン輸送をメインとし、グリーン車と普通車だけの東海道新幹線はすべて16両編成であり、座席数も全列車全編成が同じである。一方でJR東日本の新幹線は、各方面に向けてさまざまな車両が使用され、グリーン車よりも高級な「グランクラス」を連結した列車もある。新幹線の性格が異なっているのだ。

そもそも、東海道・山陽新幹線とその他の新幹線では、求められているものが違っていた。JR東日本の会長をつとめた山之内秀一郎氏は、『東北・上越新幹線』(JTBパブリッシング)の中で「新幹線の建設が輸送力の増強という現実的な課題から、利便性の公平を図る地域開発へと変質していく過程のなかで生まれたのが東北・上越新幹線だった」と述べている。繁栄している地域を回していくための新幹線と、都市と地方の格差をなくすための新幹線という違いは、現在の車両の構成にも表れているのだ。

現在の東海道新幹線は国鉄時代よりはるかに高頻度の運転を行っており、もはや直通列車を走らせる余裕はないだろう。さまざまな条件に加え、両新幹線を乗り継ぐ人も少ない。そんな理由で、東海道新幹線とJR東日本の新幹線は、直通していないのである。

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