東海道と東北・上越新幹線、なぜ直通しない? 国鉄時代にはあった乗り入れ計画

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JR東海がまとめた『新幹線の30年:その成長の軌跡』(1995年)という記念誌がある。この本は東海道新幹線を運行するJR東海によるものだが、国鉄時代の新幹線については現在のJRに関係なく記しており、東北・上越新幹線についての項目もある。

ここでは、東北新幹線と東海道新幹線の相互直通運転の計画があったことも記されており、東京ターミナルの計画について、「骨格となる新幹線相互の直通を可能にさせること」とある。しかも当初は、「東海道新幹線との相互直通運転については、東京ターミナルの能力を最大限に発揮することのほか、設備、旅客サービス上もメリットが大きいので直通運転を進める方向で検討されていた」とある。

東海道新幹線のホームは、現在14~19番線までホーム3つ、線路6本の「3面6線」となっている。開業当初は2面4線だったが、1975年にホームが増設されて3面5線(のちに6線)となった。この時増設されたのは現在の14・15番線のホームだ。東海道新幹線の改札に入り、17・18・19・20番線のホームに行こうとすると少し段差があり、階段(またはエスカレーター)を上らなければならない。これは14・15番線があとからつけ足されたことの証拠だ。

しかも14・15番線は、ほかの東海道新幹線のホームとは完全に並行しておらず、北側はJR東日本の新幹線ホームに沿うように曲がっており、ここから新幹線を北にも走らせよう、という考えがあったことがわかる。実際、このホームの整備費用には東北新幹線の建設費用が充てられていた。

東海道のダイヤがいっぱいに

だが、直通計画は次第に困難になっていった。東海道新幹線の列車本数が増大したことや、トラブルによるダイヤの混乱が相次いだことで東京駅の着発線の能力を増やす必要が高まり、2面4線ではまかないきれず東海道新幹線だけで3面6線をフルに使うようになったためだ。

『新幹線の30年』には、「ダイヤの乱れが相互に波及し、運転管理面に多くの問題が予想されること等から、団体用臨時列車等特殊列車の直通運転の可能性を残す必要があるにしても、東京駅着発線容量の向上が期待できるほど多くの直通運転は考えられず、東北・上越新幹線と東海道新幹線とは定常的に直通運転は行わない方向とし、設備および技術的事項については細部にわたる検討を行うことになった」とある。

東北・上越新幹線が開業する前から、直通の検討はしつつもすでに消極的な考えになっていたのだ。

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