三菱自、来年1月にも2000億円の増資へ 成長戦略へ舵を切る

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10月26日、三菱自動車工業が優先株の全額処理に向け、来年1月にも2000億円規模の公募増資に踏み切る方針を固めたことが分かった。都内の本社で5月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - 三菱自動車工業<7211.T>が優先株の全額処理に向け、来年1月にも2000億円規模の公募増資に踏み切る方針を固めたことが26日、分かった。来月5日に中期経営計画を発表し、説明する。経営の足かせとなっていた優先株問題に区切りをつけ、アジア戦略の強化を中心に成長路線へ舵を切りたい考え。

複数の関係者によると、三菱自動車は調達した約2000億円を使い、優先株の大半を簿価より低い価格で買い戻して消却する。残りは普通株に転換し、三菱重工業<7011.T>、三菱商事<8058.T>、三菱東京UFJ銀行の三菱グループ3社が計34%を保有し続ける。環境技術の開発負軽減へ合従連衡が進む自動車業界で、特定の提携相手がいない三菱自動車の後ろ盾になる。公募増資で株式が希薄化するため、34%の維持に向けて三菱重工が株式を買い増す方向で調整を進めている。

三菱自動車は「パジェロ」に次ぐヒット商品を生み出せずに業績が低迷する中、2000年にリコール隠しが発覚。経営危機に陥ったため、04年から三菱グループ各社に優先株を発行して再建を進めてきた。今も三菱東京UFJ銀行、三菱重工 、三菱商事、三菱UFJ信託銀行などが約3800億円を保有している。

三菱自動車は「優先株処理の方策はさまざまな検討をしているが、現時点で決定した事実はない」としている。

同社はASEAN(東南アジア諸国連合)など新興市場に経営資源を集中する一方、不振が続いた欧州生産から撤退するなど構造改革を進めてきた。円安も手伝い、14年3月期は2年連続で最終利益が過去最高を更新する見込みだ。

三菱自動車の経営陣は、1999年3月期以来できていなかった配当を再開し、経営再建の総仕上げとしたい考え。今期、復配への地ならしとして、資本金と資本準備金を取り崩し、約9200億円にのぼる累積損失を解消したが、多額の優先株が残った状態では優先株主への配当負担が重く、一般株主に十分報いることはできないため、グループ各社が保有する優先株の処理が課題となっていた。

来月発表する予定の新たな中計では、新興市場での生産拡充や、スポーツ多目的車(SUV)系の商品強化などが盛り込まれるとみられる。足元では新興国の景気に一服感もみられるが、アジアでの事業展開をさらに強化して成長を目指す。

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