名古屋で鍛えた地下アイドルが東京で見る夢 メイド志望だった少女は闇を吹っ切り生きる

「給料の支払いが遅れたら見切りをつけてください」と説得力のあるアドバイスする兎乃さん（写真：川本史織）

「店長も月給じゃなくて時給で、そこにチェキの売り上げとかも入って、25万円くらいもらってました。あとオーナーが家借りてくれてました。店長だけ。社保みたいな感じです。コスプレは趣味だったので、それで稼いだりはしてなかったです」

兎乃さんの活躍もあって順調に経営されていたお店ですが、またもやある日突然、オーナーが夜逃げしてしまいました。

「だんだん給料の支払いが遅れて、最後の月はやっぱり未払いでした。さすがにダメージ大きかったです。お店自体は黒字だったんですけど、系列のエステとかホストクラブが赤字だったみたいで、そっちに売り上げが回されてたみたい。女の子たちで労働基準監督署に行ったり、オーナーの家に行ったりもしたんですけど、結局未払いのままでした」

給料の支払いが遅れたら見切りをつけてください、と兎乃さんが誰にともなく説得力のあるアドバイスをしています。テレビ画面では、かわいらしいメイド姿の女の子が歌っていました。

事務所に所属して地下アイドルデビュー！ しかし…

メイド喫茶の閉店をきっかけに、兎乃さんは名古屋から上京して来ました。新しい生活のはじまりです。

それから兎乃さんは芸能事務所に所属。定期ライブで月に一度、ひとりで歌うようになりました。地下アイドルデビューです。事務所にはアイドルだけでなく、シンガーソングライターも、女性も男性もいたと言います。

事務所との金銭も絡むトラブルになって…（写真：川本史織）

兎乃さんがCDをリリースしていることはなんとなく知っていたので、どんなCDなのか聞くと、「闇の深い話なので、聞きます……？」と露骨に暗い顔をしてみせました。事務所との金銭も絡むトラブルになって昨年11月に退社せざるをえなくなったのです。