そして兎乃さんは美羽さんとのユニット「LAPINAILE(ラパンエール)」を結成して、最近ようやく地下アイドル活動に本腰を据える決意をしました。今がいちばん楽しいと話す兎乃さん。話を聞いていくうちに、現在に至るまでの苦労が見えてきました。
アイドルよりもメイド志望のロリータ少女
兎乃さんは岐阜県に生まれて、「ステージママ」な母親に育てられました。裁縫の得意な母親で、小さい頃の兎乃さんは写真の中でいつもレースのついた靴下を履いています。幼少期から地元の写真館でモデルをしていて、中学生くらいになると母親がオーディション雑誌を買ってくるようになりました。
初めてテレビに出たのは、テレビドラマ。なんでも願いをかなえてくれる男の子がいる体育倉庫に恋のお願いをしに行く女の子の役でした。
実は中学生の時に大手芸能事務所のオーディションを受けて合格していました。父親も同行していましたが、芸能活動のために上京することには反対で、やむをえず所属をあきらめました。それから大学進学で名古屋に引っ越すまで、母親が作ったロリータ服を自宅で着たり、好きなアニメを観たり、YouTubeで見つけたメイドのグループ「完全メイド宣言」の曲をカラオケで歌う日々が続きます。
「本当は東京に行きたかったんですけど、親から『お兄ちゃんと住みなさい』って名古屋に」
しかし、その名古屋駅で「メイドに興味ない?」とスカウトに声をかけられて、兎乃さんはメイドとして働き始めます。岐阜ではアルバイト禁止の高校に通っていたので、18歳で初めてのアルバイトでした。
「あ、本当はその前に焼肉屋でバイトしてみたけど、1週間くらいしか続かなくて……。なんか怒られるし……すぐ辞めちゃって。それでメイド喫茶で働き始めたら、そこでも店長にめちゃくちゃ怒られたんだけど全然嫌じゃなかった。なんでかわかんないけど、オーディションとか受けてた時も、アイドルよりメイドさんのほうがなりたかったからかな。メイド喫茶には女の子にリクエストできるカラオケもあって、それもすごい好きだった。人の前で歌うの好きだなって思いました」
メイドのアルバイトが、地下アイドルへの目覚めだったかもしれません。また焼肉屋のアルバイトにはなかった、自分に会いにきてくれるお客さんがいることも兎乃さんの喜びでした。それからメイド喫茶には、コスプレが趣味の女の子もいて、兎乃さんをコスプレのイベントに連れて行ってくれたのです。
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