金正恩が軍幹部に「イエスマン」を据えた狙い 「非核化」への布石か
これら人事刷新が12日にシンガポールで開催される米朝首脳会談を目前にしてまとめて行われたことは衝撃的である。
金委員長が、核政策に固執する年配の高官を、同首脳会談後にいかなる変化が起きても従う忠誠心の強い「イエスマン」とすげ替えていると一部の専門家は指摘する。
「米朝首脳会談では非核化に向けたロードマップが示されることになる。そうなれば金(正恩)氏にとって、核プログラムの放棄に激高しかねないタカ派を軍の要職に置いておくことは厄介なだけだ」と、韓国のシンクタンク、世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)上級研究員は語った。
不在時の保険
トランプ大統領は、経済制裁の緩和と引き換えに「非核化」することを北朝鮮に求めている。北朝鮮政府は自国の核兵器開発について、生き残るためには不可欠なものと考えているが、金委員長は経済発展に注力すると明言している。
今回の人事交代は、重鎮らを粛清し、より若く信頼できる側近を党政治局や他の中心的な地位に起用することにより権力固めを続けてきた金委員長の数年がかりの努力と一致するものだ。
首脳会談出席のため金委員長が不在にする間に権力を掌握しようとする企みに対する保険の意味合いもあると専門家は指摘する。
「新たに起用された人物は皆、金正恩氏の側近だ。自身に忠実な信頼できる人たちを起用している」とジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析の専門家、マイケル・マッデン氏は語った。
忠誠心が強いだけでなく、新たに抜擢された3人は対外的な活動に従事した経験があり、こうした面もプラスポイントとみなされていると同氏は指摘。ただ、3人の中からシンガポールに向かう金委員長の同行者が出るかはまだ分からないという。