しなの鉄道「車両戦略」のスゴい中身 中古は懐かしの塗装、新車は有料ライナーに
現在所有する車両は、観光列車「ろくもん」を含め、59両すべてがJR東日本から譲渡された115系。同タイプの車両は老朽化により全国的に引退が進むなか、鉄道ファンにしてみれば、115系が豊富にあるしなの鉄道は「聖地」といえる。そこで同社は開業20周年の記念事業の一環として、車両に「懐かしの車体カラー」を施すことで多くのファンを集め、大河ドラマ「真田丸」後の反動減を和らげた。
第1弾として2017年4月に登場したのが、白地に緑と赤のラインが特徴の「初代長野色」。その後も5月に緑とオレンジの「湘南色」、7月には青とクリーム色の「横須賀色」と立て続けに塗色を復活させた。玉木社長は「古さを武器にする逆転の発想。車検のタイミングで塗装を実施し、塗り替える塗料の量は従来と変わらないのでそれほどコスト増にはならない」と説明する。
さらに赤一色の「コカ・コーララッピング電車」が今年3月に登場。この結果、従来の「しなの鉄道色」「長野色」「ろくもん」を合わせた、計7種類の車体カラーの115系が走ることになった。どの電車がいつ、どこを走行するかを同社のホームページで公開するなど、「115系の動く博物館」を前面に押し出している。
また、2014年7月に運行を始めた観光列車「ろくもん」は、今年4月に新潟県の第三セクター、えちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」と相互乗り入れを行った。まずは7日にろくもんが上田―高田間を往復。13日には雪月花が上田駅に入線し、復路の戸倉駅でろくもんと並ぶレアな光景も見られた。こうした新たな取り組みで沿線を盛り上げている。
駅ナカ開業の軽井沢駅はさらなる活用の余地も
収益基盤の強化に向けた取り組みは車両の活用だけにとどまらない。2018~2022年度の中期経営計画には、今後予想される旅客収入の落ち込みを補うため、駅ナカなどの関連事業収益を現状の約5億円から6億7200万円へ拡大させる方針を盛り込んだ。
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