お化け屋敷作りが幼児教育に効果絶大なワケ 幼少期の「遊び込み」が子どもを成長させる

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そんな経験の中で、次第に子どもたちは、はやる気を少しだけ抑え、何をどうすればうまくいくか、冷静に状況を見てから行動することの大切さに気づいていく。

仲間の意見も聞かず我を通そうとすることが、結果的に相手にも自分にも何ら生産的な結果をもたらさないことを理解し、どうすれば考えやイメージをうまく伝え合えるかを学ぶ。

さらに、双方の願いを実現するウィン・ウィンな解決策を探ることが可能であり得策であること、具体的にどんな風に考えを巡らしたり話し合ったりすれば妙案が浮かび、合意に達することができるかを何度も繰り返し模索し続けるのである。

非認知能力の育成が学力の基礎をつくる

もちろん、教育する側の役割も重要になる。

うまくいかずくじけそうになっている子に寄り添い、何をどうしたかったのか、どのようにうまくいかないのか、なぜそうなったと考えているのかを丁寧に対話する必要がある。

その中で、子どもが自身の置かれている状況や今後どうしたいのかを深く内省し、自らの力で立ち直っていけるよう支援することが望まれる。

けんかやトラブルに対しても、事実関係とともにそれぞれの気持ちや考えをしっかりと話させ、自分の取った行動が今どんな結果をもたらしているのか、どうしたいのか、どうすべきだと思うのか、丁寧に聞き取る中で、自らの力で問題を解決していけるよう導くことが肝要である。

グローバル化の進展やAIの進歩に伴い、子どもたちにはこれまで以上に高度な学力が求められることになる。だからこそ、幼児教育段階ではその確かな礎としての非認知能力の育成が重要になる。その能力は、英語やプログラミングを勉強するより、子どもたちが意欲的に遊ぶほうが着実に培われていくのである。

奈須 正裕 上智大学教授

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なす まさひろ / Masahiro Nasu

上智大学総合人間科学部教育学科教授。東京大学大学院教育学研究科博士課程教育心理学専攻を単位取得退学、博士(教育学)。神奈川大学助教授、国立教育研究所教育方法研究室長、立教大学教授などを経て、2005年より現職。新学習指導要領の策定にかかわるなど、教育界のキーマンとして知られる。著書に『「資質・能力」と学びのメカニズム』(東洋館出版社)、『答えなき時代を生き抜く子どもの育成』(図書文化社)など。

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