「金日成・金正日バッジ」を手に入れる方法 必要なのは100ドルの寄付と忠誠心テスト
ただ、こうした外貨獲得活動に比べると、外国人へのバッジ「販売」はだいぶおとなしい。新しく金銭的な寄付に対する感謝の印としてもバッジが与えられるようになったとはいえ、このバッジは友情や忠誠心に対して与えられてきたものだ。北朝鮮国内で一般販売されているわけではない。
北朝鮮の観光業で働いた経験を持つある人物は匿名を条件に、バッジ取得のための「手続きは最近、変わった」と語り、その変化具合を次のように説明した。
「以前よりずっと簡単になった。金銭を支払うことで近道ができるようになった」「以前の手続きは、もう存在しない。北朝鮮は、外国人のバッジ入手にかける本気度を寄付ができるかどうかで見極めようとしている」
本気度と忠誠心を示す必要性は、手続きが変更された後でもまったく変わっていないようだ。観光やビジネスで北朝鮮を訪れる外国人には監視係がつくことになっているが、バッジを手に入れるうえではこうした監視係がカギとなるケースが多い。
北朝鮮への理解度をアピールしなければならない
「バッジの交付申請を行うのは、大学に出願するようなものだ」と語るある情報筋は、従来のバッジ交付手続きについて次のように説明した。「レターをしたため、北朝鮮への理解度を示す必要がある。いちばん良いのは、指導者や朝鮮労働党を立派だと考える理由や北朝鮮の人たちが経験してきた苦難などに言及することだろう」。
この情報筋によれば、書類審査に続いて面談が行われ、そこでは次のような質問を受ける。「バッジが欲しいのはなぜか。手にしたバッジはどのように扱うつもりか。母国に帰ってからも着用する意思はあるのか」といったことだ。
「面接官があなたのことを気に入れば、バッジが贈られる。面接官があなたの胸元にバッジをつけてくれるだろう」
この情報筋はまた、外国人に対するバッジ授与式は、北朝鮮では「写真映えするイベント」だと考えられているようだ、とも話す。
寄付金ベースの新しい手続きに詳しい2番目の取材先も、このような式典的要素は現在も手つかずのまま残っているという。
バッジ取得に必要な北朝鮮国民からの推薦を得ると、この取材先は「(金日成・金正日)基金の事務所に招かれ、『あなたが納付した寄付金(100ドル)はありがたく頂戴しました』と告げられた」。
それから4週間ほど経った後、北朝鮮政府の役人から「北朝鮮外務省の式典のような場で、バッジを手渡された」と、この取材先は語る。