インドの性暴行、語られぬ「少年被害」の内実 同性愛者によるレイプが多発している
だが、児童の安全向上に取り組む活動家たちによれば、ニューデリーで2012年に起きた陰惨な集団レイプで若い女性が死亡した事件への怒りを契機として、インドでは女性への性的暴力に対する認識は改善されたものの、男性が被害者の場合、関心ははるかに薄いという。
インド女性児童開発省が2007年、家庭や学校の児童に加えて、労働や路上生活をする児童など計1万2447人を対象に行った調査によれば、半分以上の児童が性的虐待を受けた経験があると回答。被害者の53%は男子だった。首都デリーに限れば、その比率は6割に達する。
その後、同様の調査は行われていないが、一部の活動家や警察は、少年に対する性的虐待の多くが、同性愛につきまとう社会的な恥辱のため、通報されないままだと指摘する。
女性児童開発省は3月、国会への報告で、2016年に少なくとも3万6321件に上る性的虐待が通報されているが、そのうち男子児童が被害を受けたという訴えは467件にとどまっていると述べている。
通報件数自体は少ないにもかかわらず、インド政府は先月、少年に対する性的暴行に焦点を絞った調査実施を命じた。
「子どものころに性的虐待を受けた少年は、性的被害を受けた男性が抱える不名誉さや屈辱ゆえに、生涯を通じて沈黙を保っている」とガンジー女性児童開発相は声明で語った。「これは深刻な問題であり、対処する必要がある」
家父長制の弊害
性的虐待の被害者に対してカウンセリングを行うソーシャルワーカーによれば、家父長制が根強く残るインド社会では、女子が男子に比べて多くの制約の下で育てられ、屋外で過ごす時間も短いため、男子児童の方が標的になりやすいと指摘する。
インド西部都市プネーに住む22歳の男性は、5歳のころから2年にわたり、ある男から繰り返しレイプされていたが、このことをどう受け止められるか不安だったため、この悲惨な体験を両親に打ち明けられるようになったのは、たった1年前のことだと語る。
「その男にレイプされていた公園に私は通い続けた」と、ダリワラ氏の財団でカウンセリングを受けていたこの若者は語った。「私はその男が怖かったが、家にいて怠けていると親の目に映ることが嫌だった。母を怒らせたくなかった」
ロイターは、彼が語った詳細を裏付けることができなかった。