ヤマト、下請け運転手は「制服着用なし」の謎

湾岸のタワマンから苦情続出、運転手も困惑

あるタマワンに勤務する管理会社の社員は「『制服着用でないと配達はさせられない』とヤマト側に伝えたところ、配達に来るドライバーが委託から社員に変わった」と話す。ただ、湾岸部では、近年の人口急増に伴って配達現場が逼迫しており、協力会社への依存度が高まっている。タワマン向けの配達を社員のドライバーだけで行うことは容易ではない。

冒頭の男性ドライバーは、「知り合いの委託ドライバーは制服を返却せずにいて、セキュリティにうるさいタワマンでは制服の上だけを着用して配っている」と明かす。しかし、セキュリティの問題はタワマンに限ったことではなく、ほかの集合住宅や戸建てでもまったく同様だ。このドライバーは同じエリアを1年担当しており、説明すれば受取人は理解してくれたという。「制服を着用せず、顔の知らない男性ドライバーが夜チャイムを鳴らしても、独身の若い女性は絶対に出てくれないだろう」(同)。

佐川急便から配達を受託している協力会社のドライバーは、「SAGAWA」と書かれたブルーの制服を着用していた(記者撮影)

ネット通販(EC)の拡大を受け、配達に協力会社を活用するのは、宅配業界2位の佐川急便や3位の日本郵便でも同じだ。佐川急便は「委託のドライバーにも、制服を貸与している」(広報担当)。

日本郵便は「社員、委託を問わず、お客さんと接するすべてのドライバーには制服を貸与している」(広報担当)と取材に回答した。日本郵便では数年前までは宅配の委託ドライバーには制服を貸与しておらず、それぞれが所属する会社の制服を着用してもらっていたが、「お客さんに対してきちんとせざるをえない」として対応を改めたという。

ヤマト「制服の着用ルールは現場が決める」

ヤマトには、委託ドライバーの制服について、どのようなルールがあるのか。同社の藤岡昌樹・広報戦略部長にたずねたところ、「制服の着用ルールは現場で決めている。現時点で全社統一のルールを持っていない」と答えた。ヤマトには全国に約4000カ所の営業所があり、主管支店(約20~30の営業所を束ねる上部組織)や営業所単位で地域特性に応じて、ルールを決めているという。委託ドライバーがヤマトの制服を着用しているところもあれば、所属する委託会社の制服を着ているところもあるという。

そのうえで、今回の委託ドライバーへの制服貸与取り止めは、東京に12ある主管支店(約20~30の営業所を束ねる上部組織)の一部が「一時的な措置」として実施していると説明した。その背景に「ここ数年、委託ドライバーが増える中、委託ドライバーがヤマトの制服を着ていることに対しお客さんから疑問の声が寄せられていたほか、一部の委託ドライバーからもヤマトの制服を着用したくないという声が出ていたこと」を挙げる。こうした声を受け、「制服貸与を一時停止にしたうえで、お客さんや委託ドライバー、社員の反応を見て、今後の対応を総合的に判断することにした」という。

藤岡部長は「委託ドライバーの力がなければ宅急便は成り立たず、重要なパートナーであることは今後も変わりない」としたうえで、「委託ドライバーへの制服貸与をどうすべきかについては本社でも課題意識があった」と話す。制服貸与を現在取りやめている東京の各現場での判断を踏まえて、ヤマト本社として、委託ドライバーへの制服貸与・着用についてガイドラインを作ることも検討する方針を示した。

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