現地合弁でブラジルの洋上設備需要を狙う

川崎重工業 村上彰男常務(船舶海洋事業統括)

国内も海洋資源関連の支援船を新たな柱に

――では、国内にある2カ所の造船所(神戸市、香川県坂出市)はどうやって存続させていくのですか。

むらかみ・あきお:1975年、東京大学工学部卒、川崎重工業入社。2010年、船舶海洋カンパニー企画本部長。13年6月、常務取締役・船舶海洋カンパニープレジデント(現職) 

確かに、国内の造船所でバラ積み船などの一般商船を建造し続けるのはかなり厳しいと思う。海運・造船バブルが終わって、今のバラ積み船の船価はピーク時の半値ぐらい。中国の造船所が台頭してきたことで、中長期的にも一般商船は船価の回復がさほど期待できないだろう。

そうした中で、日本の造船所が生き残るには、技術力を生かして付加価値の高い分野に経営資源を集中していく必要がある。具体的に言うと、当社の国内造船所は、得意とするLNG運搬船と防衛省向けの潜水艦、そして新分野の海洋資源関連を足した3本柱でやっていく。

――国内造船所で海洋資源関連の何を?

最初に考えているのは、沖合いでの開発・生産作業をサポートするオフショア支援船。オフショア支援船には物資運搬船などいろいろな種類があるが、海底工事などに使用されるコンストラクション・サポート・ベッセル(CSV)に挑戦したいと思っている。CSVは海底で作業するので、高度な定点保持性能が要求される。オフショア支援船の中でも特に技術的な難易度が高く、その分、得られる付加価値も大きい。

現在、CSVは欧州や中国、インドネシアなど複数の国で建造されている。ただ、中国やインドネシアの造船所が手掛けているのは、東南アジアなど浅瀬の海で使用されるCSV。こうした浅瀬用は技術的にさほど難しくないので価格が安く、日本で造っても利益は出ない。当社が狙っているのは、ノルウェーの造船所が造っているような水深の深い海域で使用される大型サイズのCSVだ。

――実際に受注できるのですか。

オフショア支援船を専門とする船主(=用船・操業企業)は、北海周辺のノルウェーやオランダに数多い。実は、3年ほど前から、そうした企業に売り込みをかけている。最初は相手にしてもらえなかったが、やがて話を聞いてくれるようになり、最近では入札のオファーが来るようになった。

まだ受注には至っていないが、商談の中身はだんだん濃くなっている。門前払いで話もできていかなかったのが、「なんぼやねん」と価格を聞かれて、次は仕様を聞きたい、詳細なスペックを出してくれと。一歩、一歩、目標とする受注に近づいているという実感はある。ぜひとも早く受注を獲得して、海洋資源関連をLNG運搬船、潜水艦に続く国内第3の柱として確立したい。

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