激増!「職場うつ」が重症化しやすい人の特徴 仕事量・人間関係…心が病む原因とは?

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ちなみに、うつ病の診断基準には「2週間以上、抑うつ状態が続いている」などチェックリストがあるが、実情はそれほど単純ではないという。うつ病ではないけれど、その周辺領域の「うつっぽい状態」には明確で排他的な診断はつけづらいという。

うつ状態になる原因は人それぞれ

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「たとえば、救急車で緊急搬送されてきた人が『おなかが痛い』と言っているけれど、検査機器を調べてもわからない、というときにはとりあえず『発熱と腹痛』と診断書を書きます。同様に、うつになっていることは事実だけど、統合失調症の初期症状かもしれないし、双極性障害(旧称『躁うつ病』)かもしれないけれど、実態はよくわからない、というときは全部まとめて『うつ状態』とします」(大室氏)

こうしたうつ状態になる原因は人それぞれであり、中には「幸せな気分にさせるセロトニンが出にくい」といった体質的な要因を抱えているケースもあるという。

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では、どう対策すればいいのだろうか。

本書に登場する長尾クリニックの長尾和宏院長によると、歩くだけでセロトニンが分泌されるため、実は歩くだけでうつ病対策になるという。

同じく本書に登場する新宿溝口クリニックの溝口徹院長によると、セロトニンなど脳内物質の原料として重要なビタミンBや鉄分を摂る、栄養面のアプローチで治す人もいるという。

うつ病は原因も深刻さも多様だが、大室氏が語るように仕事量・人間関係で無理をせず、他にも選択肢のある生き方、考え方を心がけたい。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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