六本木ロアビルが姿を消さざるを得ない事情

東京都の耐震強度不足ビル「実名公表」の波紋

1973年竣工で45年以上の歴史を持つ東京・六本木のロアビル(撮影:紐野義貴)

「早急に建物を取り壊すことを決定し、テナントにも通知した」

ロアビル(六本木共同ビル)が、姿を消すことになった。1973年に竣工した地上13階建ての歴史あるビルで、「ROI」の文字を大きく壁面にあしらった外観が特徴の1つだ。バブル時代にはディスコも入り、一世を風靡した。近年は1階に「六本木横丁」の名称で、居酒屋、焼肉、焼き鳥、すし、串揚げなどの約20店舗もの飲食店が入り、人気をとっている。

ビルオーナーの決定を後押ししたのが、3月29日に東京都が発表した「耐震診断が義務付けられている建築物の耐震診断結果等の公表について」だ。六本木・ロアビルは、震度6強~7で倒壊する可能性が高い「安全性の評価Ⅰ」の建物として「実名」が公表された。東洋経済オンラインでも「独自マップ!東京23区『危ない建物』はここだ」(4月13日配信)、「注意!東京23区『大通り沿い』危ないビル一覧」(4月20日配信)で詳しく追ってきた。

「実名」を公表されたビルオーナーに波紋が広がる

建物の耐震化を促進する目的で実施された措置ではあるが、「実名」を公表されたビルオーナーには波紋が広がっている。

ロアビルでも、実名公表後に共同でビルを所有するオーナーが対応を協議し、取り壊しを決定。「ちょうどテナントの説明を終えたところだ」(管理会社)という。

現時点で解体時期の見通しは立っていないが、今年9月までには7割近いテナントとの賃貸契約が切れるので契約を更新せず、残りのテナントにもできるだけ早い退去を要請。テナントの退去が済み次第、解体工事に取り掛かる。

東京都は、なぜ建物の「実名」で耐震診断結果の公表に踏み切ったのか。

次ページ法律に基づいた措置であることを強調
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