「朝貢」を求められた日米首脳会談の顛末 色あせたトランプ―安倍「蜜月」の内実

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「日本は、米国の主な同盟国の中では唯一、鉄鋼関税を課されています。首相は(今回)大統領に除外を要請したのですか? もしそうなら、大統領は何と答えたのでしょう」

安倍首相は「日本の鉄鋼やアルミが米国の安全保障に悪影響を与えることはなく、むしろ高品質で多くが代替困難な日本製品が米国の産業や雇用にも多大に貢献しているというのが、わが国の立場だ。この認識に立って、引き続き協議をしていく考えだ」と語っただけで、トランプ大統領に除外を要請したのか、その回答がどうだったのか、という点については、安倍首相は答えなかった。

そのとき、聞かれてもいないのに答え始めたのは、トランプ大統領だった。
 「アルミと鉄鋼の関税に関連している232条の発動についてだが、その関税によって、われわれは多くの国と交渉のテーブルにつけている、さもなければ、他の国々は(関税を)支払っている」

関税を課されている国々は、適用除外にしてもらうために米国に譲歩策を持ってくるか、それとも関税を払うのか、そのどちらかだ……というトランプ氏の考えがはっきりとあらわれていた。日本へも譲歩策という「土産」を求めているのは明らかだった。

自動車分野ではっきり譲歩を求めてきた

トランプ大統領は、日本から何を得ようとしているのか。

大統領本人が、18日の会見で語った内容は興味深い。

日本人記者から「日本を適用除外にしないということか」と問われ、トランプ大統領は冒頭のように、巨額の対日貿易赤字に対処する新たなディールで合意できれば適用除外を考える、という趣旨の答えをした直後に、続けてこう語っている。

「今われわれは最低で690億ドルの対日貿易赤字がある。日本は、何百万台もの自動車を米国に送ってくるのに、われわれがかけている関税は実質的にゼロだ。われわれは(日本に)たくさんの製品を送れていない。貿易障壁やその他のことがあるからだ。だから、こうしたことを、首相と私はこれからの短い期間で議論していくつもりだ」

鉄鋼・アルミ関税にからんで、日本の主力輸出製品である、自動車分野での譲歩を求める姿勢がはっきりとみてとれる。

実際、米メディアによると、トランプ大統領は米国内の支持者との非公開の集まりで、日本が巧妙な仕掛けで非関税障壁をつくっているせいで、米国車が日本で売れなくなっている――という内容の批判を展開しているという。トランプ大統領は米国製品の日本市場へのアクセス向上策のほか、日本からの輸出ではなく、米国内での自動車の現地生産の拡大を求めていたという。米国内での日本メーカーの現地生産がさらに拡大すれば、日本国内の雇用が減少するおそれがあり、日本の国益を左右する問題だ。

鉄鋼・アルミ関税にからんだ、トランプ大統領の発言から見えてきたのは、米国の対日貿易赤字を減らすために新たなディールで合意する必要がある、というトランプ政権の大きな野心だ。

米国の対日貿易赤字を縮小するために、日本側に対策を求めるという構図は、1970年代、1980年代、1990年代とさまざまな形で続いてきた日米貿易摩擦、経済摩擦に通じるものがある。それを今回、トランプ大統領が主導する形で再燃することになりかねず、日本にとってはきわめて厳しい局面になるおそれがある。今回の鉄鋼・アルミ関税でも明らかなように、トランプ大統領は、政権内の身内からも反対があるような強硬策を、自身の判断で打ち出すからだ。

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