「正論」だけの上司が組織を衰退させる理由

不適切な命令は部下を「思考停止」に陥らせる

感情だけで動く人はいませんし、感情だけで相手に何かを求める人もめったにはいません。同じように論理だけで動く人もいませんが、論理を過信して、それだけで相手を動かそうとするリーダーは、私が今まで見てきた中でも、意外に数多くいるものです。

もちろんリーダー自身はメンバーに真面目に向き合い、それが正論であることを一生懸命説明し、だから正しいこと、好ましいことだと訴えかけて、同意や納得を得ようとします。しかし、そうやって理詰めで押されたメンバーは、そこで反論するには感情に訴えるしかなくなってしまいます。そして、感情的な態度をとることが好ましくないと思えば、その感情は自分の中に押し込めておくしかありません。

そうして積み重なるのは、不満、あきらめ、思考停止といったネガティブな思いばかりですから、チームの空気に与えるのは悪影響しかありません。「人は理屈だけでは動かない」ということは、あらためて肝に銘じておく必要があります。論理だけ、感情だけでは相手の納得は得られません。その両方を場面に応じて使い分けることが重要になってくるのです。

最後は「感情」に寄り添うことが重要

しかし、だからといって、何でもかんでも感情に配慮すればよいかといえば、必ずしもそういうことではありません。感謝やねぎらいの言葉も、安易な形で繰り返されていると、メンバーはいつか慣れてしまい、本音ではない、真剣でない、口先だけなど、きちんと受けとめてもらえなくなります。リーダーとして、メンバーに厳しい要求をしなければならない場面は必ずあるもので、それは感謝やねぎらいの言葉だけでごまかせるものでもありません。

これはある会社のベテランリーダーが言っていたことですが、例えば、非常に厳しい内容の仕事や、責任の重い立場をメンバーに指示しなければならないような時、もちろん論理的な説明は徹底的にしますし、フォローする体制や責任の所在などで受け入れやすい環境を作ることもしていきますが、本当に最後の最後の局面では、「あなた以外にいない」「力を貸してほしい」「私の顔に免じて」など、自分の気持ちを、心を込めて話して納得してもらうということです。「最後は理屈ではなく感情に訴えるしかない」と言っていました。

ただし、そのためには相手から、「この人にそこまで頼まれたら仕方ない」と思われるような、常日頃からの信頼関係作りがあってこそだということです。これを怠っていると、いざというときに肝心な話ができません。日々の積み重ねが、こういうところで活きてくるのです。論理と感情のどちらかだけに偏らず、両方に配慮することは間違いなく大切です。それと同時に、人は「最後の最後は感情が優先する」というところがあります。それが最終的な本人の納得にもつながるのです。

チームによい空気を作り出すには、メンバーが納得感を持って仕事をすることが重要です。それはメンバーの感情にも配慮することであり、日々の信頼関係づくりによるものです。メンバーに納得感をもたらすリーダーになるために、「論理」と「感情」の使い分けを見直してみましょう。

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