日米会談は安倍首相の命取りになりかねない

トランプ大統領との蜜月はもう終わっている

それでも、トランプ政権に詳しい人物が話してくれたことによれば、「この会談の後でトランプ大統領に必要なのは、日本に新しい貿易交渉に入らせることを余儀なくさせた、と自慢することであり、結果ではない」。

安倍首相はその代わりに、韓国がトランプ大統領に提供したのと同じようなものを提供するかもしれない。すなわちFTA交渉を回避させるような、一度きりの名目上の譲歩だ。

「名ばかりの譲歩」をどこまでできるか

「FTAについて文句を言うことはできるが、それは安倍首相にとって優先事項ではないのではないか」と、元国務省高官およびホワイトハウス高官で、戦略国際問題研究所(CSIS)の国際政治経済担当部長であるマシュー・グッドマン氏は話す。

「市場アクセスに関しては名ばかりの譲歩となる可能性が高い。TPPの牛肉と豚肉の開放や、おそらくその他の何らかの(コメ以外の)農産物の開放に向かえるよう、何か手段を持っているかもしれない。自動車安全規制に関しても何か手を打てる可能性がある。これがトランプ大統領の不満の種なのだから」

トランプ大統領は、ほかにも2つの領域で安倍首相にプレッシャーをかける可能性がある。どちらも日本国内で反発を引き起こすことが予想されるが、以下のような要求だ。

トランプ大統領は長い間、日本や韓国といった国は米国に「守ってもらっている」のだから、貿易黒字の補償としてもっと米国に対してカネを支払うべきだと信じ、これを主張してきた。政府高官によると、トランプ大統領は、米軍基地に対し「ホスト国」としてより高いレベルの支援を求めてくるかもしれない。日本は土地賃料や基地で働く労働者にかかわる費用の約7割をすでに支払っているが、トランプ大統領はそれを100%に引き上げろと言ってくるかもしれない。

もうひとつが米国製兵器の購入だ。安倍首相はF-35戦闘機などの購入の加速や拡大を発表するよう圧力をかけられる可能性がある。これこそトランプ大統領が細心の注意を払い、同政権の経済的勝利として公表したい、と考えている分野だからだ。

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