スマホ決済号砲!脱「現金至上主義」は進むか LINE、ヤフー、楽天、ドコモが続々と参入
前のめりなのは他社も同じだ。楽天は2016年に始めたスマホ決済サービス「楽天ペイ」で機能の拡充や加盟店開拓に邁進。フリマアプリで急成長するメルカリも昨年11月、金融関連の新規事業開発に特化した新会社メルペイを設立した。
直近では、ヤフーも実店舗向けスマホ決済への参入を表明。6月に開始する。同社はネット通販(EC)や「ヤフオク!」向けの決済サービス「ヤフーウォレット」で約4000万の登録口座を抱える。実店舗では後発だが、「ウォレット利用者の規模はアドバンテージになる」(コマースカンパニーの谷田智昭・決済金融統括本部長)と強気だ。
スマホ上で消費者の財布を押さえたい各社の狙いは何か。単に決済手数料を稼ぐだけではない。自社サービスの“経済圏”を広げることにある。
決済参入で自社サービスを便利に
典型的なのはLINEだ。すでに国内の月間利用者数が7300万人に達しており、この先伸び率を維持するのは難しい。出澤氏も「今後はLINE上のサービスにおける“可処分時間”や流通総額を増やすことが重要指標になる」と話す。LINEペイにおカネを貯めている人なら、ECの「LINEショッピング」や出前サービス「LINEデリマ」といった育成中のサービスに引き込みやすい。
実店舗での決済情報は、IT各社が従来把握できていなかった貴重なデータでもある。「リアル決済が加わればデータの幅と深さが増し、顧客への提案力を上げられる」(ヤフーの谷田氏)。広告やECで客の好みに合わせた情報の提供を強化できるわけだ。
各社がスマホ決済戦略を描くうえで熱い視線を注ぐのが、日本以上にキャッシュレス化が浸透する中国だ。EC大手アリババグループの「アリペイ」、メッセンジャーアプリのウィーチャットを運営するテンセントの「ウィーチャットペイ」を筆頭に、ここ数年でコード決済の店頭導入が急速に進んだ。小規模な小売店や路上ライブの投げ銭などにも、客側のスマホで読み取るQRコードが当たり前に使われる。コード決済でしか買えない自動販売機もあちこちで目にする。
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