国際航空券の販売方式が変わる--ゼロコミッションで旅行会社が大転換

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今後迫られるビジネスモデルの転換

今回の手数料は、航空券発券に対するもので募集型企画(パッケージ)旅行には影響はない。一定量をまとめて仕入れる団体運賃が適用されるため、もともとコミッションの概念がないからだ。

しかし今後は、団体運賃でも旅行会社に支払う販売奨励金などが見直される可能性がある。航空会社が経済合理性を追求すれば、これまで一律だった取引条件を、旅行会社の販売量の多寡によって見直すことはむしろ自然な流れ。同様の動きは旅行会社側からも起きそうだ。HIS経営企画室の中谷高士室長代理は「特定の航空会社と結びつきを強くしていくことは十分ありうる」と打ち明ける。こうしたバイイングパワーを持つのは、一部の大手に限られる。

JTB旅行事業本部航空政策室の清水直樹室長は「ゼロコミッションがビジネスモデル転換の契機になる」と話す。ゼロコミッションは旅行会社にとって「販売代理店からの脱却」を意味する。その結果起きるのが、フィー(手数料)ビジネスへの転換だ。今後、国際航空券販売以外にも、旅行手配の全体に利用者からの手数料徴収が広がるかもしれない。

「他社のツアーをお薦めすることがあります」。6月からHISの店頭ポスターには、こんな文句が躍る。自社商品にこだわらず、利用者にとって最適なツアーを提供しようとする顧客満足向上の取り組みだ。

サービス強化の取り組みは、他の旅行会社でも増えている。フィービジネスには、それに見合うサービスが不可欠だからだ。その点で、ビジネスモデル転換に向けた模索はすでに始まっているともいえる。

転換期を迎える旅行業界。新たな手数料が利用者に受け入れられるか。それが一つの試金石となる。

(並木厚憲 =週刊東洋経済)

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