安倍首相の進退、永田町で飛び交うシナリオ 自ら戒めた「築城3年落城1日」に現実味も

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与党内では「いつでも辞めてやる、と息巻く麻生氏に対し、財務省による再発防止策を理由に、首相が続投を求めた」(自民長老)との見方も広がっている。ただ、「政権崩壊を防ぐために麻生氏の辞任を引き延ばせば、さらなる内閣支持率低下につながる」(自民若手)ことは避けられそうもない。最新の世論調査でも「麻生氏の辞任」より「首相が責任をとるべき」との声のほうが多数で、「政権維持を考えれば、時間稼ぎは逆効果」(同)との指摘もある。

そうした中、自民党内ではすでに9月の総裁選による首相交代を視野に入れた、各派閥や実力者の蠢(うごめ)きが始まっている。それぞれの思惑は異なるが、首相の出処進退に絡めて想定されているシナリオは、(1)任期途中の退陣表明、(2)9月の総裁選への不出馬表明、(3)総裁選出馬による3選、に大別される。いずれも「今後の展開次第で可能性が大きく変動する」(自民幹部)のは間違いないが、関係者の間では「現時点では(1)が1割、(2)が6割、(3)が3割」との見方も出ている。

昭恵氏喚問は首相にとって「究極の選択」

仮に、佐川氏が証人喚問で改ざん問題について「政権中枢部からの指示で行った」などと証言すれば、これまでの首相らの国会答弁での説明は完全に崩壊し、首相退陣に直結する。また、「首相の国会答弁との整合性を図った」「首相夫人の行動も忖度した」ことなどを認めても退陣論が加速する。

一方、佐川氏が「虚偽答弁」を認めながらも、政権への忖度など肝心な部分について「刑事訴追のおそれ」を理由に証言を拒んだ場合は、「政権との関わりはグレーゾーンのまま」(政府筋)となる。さらに、佐川氏が「改ざんは私の指示」「虚偽答弁を隠すため」などと証言すれば、同氏を改ざんの最終責任者とした麻生財務相らの主張どおりとなり、首相自身が進退を問われる事態は回避される。

つまり、佐川氏の証言次第で首相の進退に関する政局シナリオは変わるわけだが、永田町では「結果的にグレーゾーンで終わる可能性が極めて高い」(民進党)との見方が支配的だ。となれば、「いつまでも疑惑解明が進まないまま時間が経過し、内閣支持率が危険ゾーンとされる2割台に落ち込んで、首相も国会閉幕後などの政局の節目で3選出馬断念を表明せざるを得なくなる」(自民長老)とのシナリオが現実味を帯びてくる。

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