アマゾン「プライム・ビデオ」、判明した実態 会員獲得コストは平均で1人当たり63ドル

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ただ、ジェフ・ベソス最高経営責任者(CEO)はこれまで、娯楽コンテンツを利用して物品販売を促進する戦略について率直に語っている。同社は2010年にアマゾン・スタジオを設立して独自番組を制作しており、一部の作品は各賞を受賞するなどハリウッドでも話題となっている。

ベソス氏は16年の技術関連の会議で「ゴールデングローブ賞を受賞したら、靴がよく売れた」と語った。その上で、プライムで映画やテレビ番組を視聴する顧客は、視聴しない顧客と比べて無料体験から年会費を払って契約を締結する比率が高いことを明らかにした。

事情に詳しい関係者2人は、アマゾンでは動画支出が年間50億ドルと、最も大きな支出項目の1つになっていると述べた。アマゾンはその結果、何人の加入者が得られたかをこれまで公表していない。

内部文書では、人気ドラマ「高い城の男」の最初のシーズンは17年序盤時点で米国で800万人が視聴。制作費とマーケティング費用が合計7200万ドルで、世界で115万人の新規加入者を獲得したと説明されている。

プライム会員を平均で1人当たり63ドルで獲得

これによると同社は、新たなプライム会員を平均で会員1人当たり63ドルで獲得した計算になる。これは米国内の会員が支払う年会費の99ドルをかなり下回る。ベソス氏によると、プライム会員は非会員と比べて、より多くの商品を購入するため利益をさらに押し上げるという。

アナリストの推計によると、世界のプライム会員は7500万人超で、このうち約半数を米国の世帯が占める。

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