子どもの学力と体力の知られざる深い関係 最新の脳科学でわかった運動の重要性

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ではなぜ、縄跳びやボール遊びをした子どもたちの「算数の能力」が飛躍的に向上したのでしょう?

じつは運動をすると海馬だけでなく、脳の「白質」と呼ばれる部位の機能も強化されることがわかっています。白質はおもに情報伝達を担うケーブルの集合体で、脳の左側の白質が「数学的な能力」にかかわっていることが最近の研究で判明しました。

白質の機能を高めるために、とりたてて激しい運動をする必要はありません。

座ってばかりいないで、毎日をできるだけ活動的に過ごせば白質は強化されることがわかっており、子どもを外で遊ばせることがめぐりめぐって机の上で行う勉強にも良い影響をもたらしてくれるということです。

ただし、「筋トレ」で学力は上がらない

2010年までスウェーデンでは18歳の男子全員に軍の入隊検査を受けることが義務づけられていて、1日をかけてさまざまな体力テストと知力検査が行われました。

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26年以上にわたって120万人以上の18歳の男子がこのテストを受け、最近になって結果が公表されたのですが、その資料は非常にはっきりとした相関関係を示していました。体力テストで結果がよかった新兵は、そうでない新兵よりも知能指数が高くなっていました。

ただし、データが示すところによると、知能指数の高さと関連性があったのは持久力のみで、筋力とは無関係。筋力テストの結果だけがよかった新兵は、知能検査ではよい結果が出ませんでした。

先のスウェーデンの調査によると、18歳のときに体力に恵まれていた若者は、その後何十年にもわたってその恩恵にあずかれることが判明しています。
高い学歴を経て、40歳前後の時点で報酬に恵まれたよい仕事についている確率が明らかに高かったのです。

子どもが毎日15分遊べば、大量の読書や勉強をしなくても読解力や計算力が上がります。わが子の頭が良くなることと将来の安泰を願うのなら、タブレットやスマートフォンを置かせて、子どもたちの目を外の世界に向けさせるほうがいいのです。

アンダース・ハンセン 精神科医

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Anders Hansen

スウェーデンのストックホルム出身。カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)で医学を、ストックホルム商科大学で企業経営を修めた。現在は精神科病院に上級医師として勤務するかたわら、多数の記事の執筆を行っている。ラジオやテレビでも情報を発信、講演活動も精力的に行っている。

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