航空と鉄道が「融合」、進化が続く欧州の交通 鉄道駅には空港と同じコードが付いている

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ちなみにルフトハンザが「フライト扱いの列車」を走らせている区間は、フランクフルト発着でシュツットガルトやケルン、ドルトムントなど全部で8カ所ある。駅を空港の一つと見立てて航空券と同じ方法で予約・発券するため、関係各駅には各空港と同様に「3レターコード」が付けられている。

案内板をよく見ると、いくつかのルフトハンザ便の行き先に「HBF(中央駅)」の表示がある(筆者撮影)

ルフトハンザのように、長距離列車に航空便名を付与し、長距離フライトからの乗り継ぎ客の利便性を高めるサービスは、エールフランスも同じような形で取り組んでいる。

エールフランスは、TGV AIRと呼ばれるサービスを行っている。特定のTGVに便名をつけるとともに、駅によってはチェックインカウンターを設け、最終目的地までの搭乗券の発行や手荷物の引き受けを行っている。列車区間は搭乗券が乗車券代わりとなるわけだ。

駅出口近くにチェックインカウンターを設置

ルフトハンザ航空では、列車を使って地方都市からフランクフルト空港にやってくる旅客の利便性を高めるため、駅改札を出てわずかな距離のところに同社全出発便のチェックインができるカウンターを設けている。このカウンターでは「フライト扱い列車」だけでなく、ほかの列車で来た人も自由に手続きができる。ユーザーフレンドリーの目線でしっかりと設備を作っていることがわかる一例と言えようか。ちなみに、航空機でフランクフルト空港に到着して駅に向かう場合、手荷物引渡所が駅寄りに置かれているので、荷物をピックアップしてから駅まで歩く距離は短くて済む。

ルフトハンザによる「列車を使った国内線フライト」の歴史は意外と古い。話は1980年代にまでさかのぼる。当時同社は、需要は多いが運航コストがかかるフランクフルト―デュッセルドルフ間のフライトを鉄道に置き換えることはできないか、と検討を行っていた。その頃ドイツ鉄道(DB)は、欧州では一般的でなかった動力分散タイプですべての車両が1等車という「クラス403」を投入したものの、客車列車のように需要の増減により連結数を可変できず、かつ当時のDBの意向で、列車に2等車は必需とされたことから同車両の使い道がなくなってしまった。

そこにルフトハンザが「列車をフライト扱いで走らせたい」と話を持ちかけたところ、展開はトントン拍子に進み、1982年に「ルフトハンザエアポートエクスプレス」として新たに「陸を走るフライト」が登場した。いすを当時の長距離機DC10のビジネスクラスのものに置き換えたほか、食堂車のキッチンを機内にあるギャレーに改装し、航空機内と同じサービスを鉄道で実現しようと試みたのである。

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