航空と鉄道が「融合」、進化が続く欧州の交通 鉄道駅には空港と同じコードが付いている
LCC(格安航空)の台頭著しい欧州で、従来型の航空会社はあの手この手で利用客つなぎ留めの妙案を打ち出している。たとえば、ドイツでは「高速列車の一部」を国内線フライトと見立て、「陸を走る飛行機」という形でサービスを行っている。実際の運営はどうなっているのか、ドイツの交通の要衝・フランクフルトを訪ねてみた。
空港の出発案内表示に「列車」が
列車との連絡運輸で国内線のネットワークを補完しているのは、ドイツのルフトハンザ航空だ。同社は、日本―ドイツ間に積極的に路線展開しており、羽田―フランクフルト間のほか、関西と中部の2空港にも直行便をそれぞれ運航している。
ルフトハンザ最大のハブ(運航拠点)であるフランクフルト・アム・マイン空港に行ってみると、出発便を示す案内版に奇妙な表示を見ることができる。一部の便に「Train(列車)」と書いた備考があったり、行き先が「地名+HBF(中央駅、の意味)」と書かれていたりと、明らかに飛行機ではなく列車を使った「フライト」がリストアップされているのだ。
これがどのような形で運営されているのか、あらためて同空港でチェックしてみた。この「フライト扱いの列車」は「ルフトハンザエクスプレス」と呼ばれている。同サービスに使われている列車は編成全体がそれに使われているのではなく、「高速列車ICEの編成の一部を同社の乗り継ぎ客用に確保している」といったものだ。ちなみに、ファーストかビジネスクラスの搭乗客が列車に乗る場合はICEの1等車が、エコノミークラスからの乗り継ぎ客は2等車がそれぞれ割り当てられる。
たとえば、日本からケルンに行く場合、飛行機のみの乗り継ぎルートを使うとミュンヘン経由で国内線を使って向かうことになるが、仮にフランクフルト経由だと空港駅からのICEが「乗り継ぎ便」として指定される。日本の出発空港では「列車に乗るための搭乗券」が手渡されるほか、所定の距離に応じたマイレージが加算されるようにもなっている。さらに上級クラスの搭乗客やマイレージの上級会員ならドイツ鉄道(DB)が主要駅に設けている列車待ち合わせ用のラウンジも利用できる仕組みとなっている。
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