航空と鉄道が「融合」、進化が続く欧州の交通 鉄道駅には空港と同じコードが付いている

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この「クラス403」による同列車の運行は1993年に打ち切られたが、その後もICE編成の一部を使った連絡運輸業務が引き続き行われている。

ルフトハンザエクスプレスへの乗り継ぎ客はここで荷物を受け取り、列車に向かう(筆者撮影)

このように長距離列車が近距離フライトを補完する役割を担うためには、空港と高速列車などが走る鉄道駅とを直結するインフラ整備が欠かせない。

欧州主要都市で、優等列車が走る鉄道幹線の駅が空港施設とつながっている事例としては次のようなところがある(順不同)。これらの空港では、鉄道駅からの発着列車が「近隣の大都市」をつなぐだけでなく、国内全体あるいは近隣国の都市を結ぶ足として使われている。世界に冠たる欧州のハブ空港の多くは、長距離輸送の手段のひとつとして、鉄道駅を完備しているというわけだ。

空港駅に長距離列車が乗り入れている例
◎アムステルダム・スキポール空港……国内全域をつなぐインターシティ(IC)、パリとブリュッセルに直行する高速列車「タリス」が発着
◎ブリュッセル空港……国内各地やアムステルダムへのICが発着
◎パリ・シャルル・ド・ゴール空港……空港内に高速列車「TGV」の専用駅を設置
◎フランクフルト・アム・マイン空港……空港内に高速列車「ICE」、ICが発着する長距離列車の発着駅を設置
◎コペンハーゲン空港……国内各地や隣国・スウェーデンへの長距離列車が発着
◎ウィーン空港……ドイツと結ぶICEが乗り入れ
◎スイスの2つの国際空港(ジュネーブ、チューリヒ)……いずれも国内各地への長距離列車が発着する駅を併設
※うち、パリとフランクフルト空港発着列車には、航空便名が付された「フライト扱い」の高速列車が走っている。

空港への輸送量集中が緩和する

日本の状況をあらためて見てみると、成田空港では特急「成田エクスプレス」が東京駅だけでなく、横浜、大宮など首都圏の他方面と結び、さらには富士急行線に乗り入れて富士山方面に向かう列車もある。関西国際空港では特急「はるか」が新大阪や京都と結んでいる。

航空機と鉄道をうまくつなげば、一部の空港への輸送量集中が緩和できたり、逆にあまり便数が多くない空港(都市)へ向かうオプションがより広がるといった利点が考えられる。欧州における航空利用者目線で見た鉄道の役割について参考にすべき点は多いだろう。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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