大揺れ森友政局、安倍1強政権は耐えられるか 「佐川斬り」も火に油、絶体絶命の財務省
仮に大阪地検が公文書書き換えという「財務省の犯罪」を暴き出せば、森友問題の核心である「国有地の不当な値引きによる売却」にも直結する。その場合「最強の官庁」とされる財務省は「近畿財務局のお取り潰しも含めた絶体絶命のピンチ」(自民長老)となり、「組織ぐるみとされれば、財務相辞任どころか内閣総辞職の危機」(自民幹部)にもつながりかねない。
ただ、検察捜査を指揮監督する立場の法務省は、捜査の現状について固く口を閉ざしている。麻生氏が「捜査される側が、資料を見せてくれなどといえるはずがない」と繰り返したように、大阪地検の捜査が長引けば政治的には、「検察の捜査待ち」という宙ぶらりんの状況が続くことになる。
それでは現在の国会の混乱が長期化する。参院予算委などのボイコットを続ける立憲民主党など野党6党は「状況に変化に合わせ、これからは審議に参加して政府を徹底追及する」と勢いづく。昨年同様、今後の国会攻防が疑惑追及一色となれば、年度内成立が確定している予算案は別として、税制改正など予算関連法案が年度内に成立せず、新年度からの予算執行に支障が出る事態に陥る。
安倍政権が麻生氏の財務相辞任で事態を打開しようとしても、混乱が延々と続けば、首相が通常国会の最重要課題とした働き方改革法案の会期内成立も困難となり、自民党内での"反安倍"の動きが拡大しかねない。
米朝首脳会談は蚊帳の外?重大局面で国会空転か
そうした中、首相は9日午前のトランプ米大統領との電話会談で、4月初旬にも訪米して日米首脳会談を行うことで合意した。5月までに開催される予定の米朝首脳会談をにらみ、北朝鮮の非核化に向けた日米連携戦略を協議するのが目的だ。北朝鮮危機は「日本国民の命の安全に関わる重大問題」だからだ。ただ、今回のトランプ大統領と北朝鮮の米朝首脳会談合意劇は「韓国主導で、日本政府にとっては寝耳に水」だったとされる。首相が電話会談で日米の事前協議を求めたのも「蚊帳の外になることへの危機感」(自民幹部)が理由とみられている。
大阪地検の捜査が長引き、省内調査だけでは森友問題の幕引きができない事態となれば、予算成立後の国会攻防も大荒れとなる。その時期に首相訪米を設定する動きには「国家の命運がかかる日米外交が最優先で、その時期に野党が疑惑追及で首相の足を引っ張れば、国民の批判は野党に向くはず」との首相サイドの思惑もちらつく。しかし、「それで野党が矛を収めるというのは甘すぎる」(公明党幹部)との声が多い。
中央紙の10日付けの1面トップはほとんどが「佐川国税庁長官辞任」を大見出しとした政局記事だった。「本来なら、米朝首脳会談より一官僚の辞任が大きく扱われることはありえない」(有力紙編集幹部)のだが、麻生氏の財務相辞任も含めた安倍政権の"終わりの始まり"ではないか、との観測が紙面構成につながったとみられる。首相の天敵とされる朝日新聞の報道をきっかけに炎上した「森友政局」の結末を、政官界や財界とともにメディアも息をひそめて見つめる状況がまだまだ続きそうだ。
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