路面電車建設「反対意見」は本当に正しいか

道路の邪魔、バスで十分…欧州の例から検証

2014年に開業した英国・エディンバラのトラム。郊外では道路交通に支障がない専用軌道を走行する(筆者撮影)

騒音や振動が心配という意見も多い。確かに、時速60~70kmで電車が走る様子を見れば、そういった心配も出てくるだろう。しかし、海外でもそのような速度で走るのは郊外区間であり、多くの建物が密集する市街地中心部では、その速度は時速15~20km程度で、騒音や振動はほとんど気にならない。また、最新の路面軌道は、騒音や振動を抑えるための防振ゴムを備えるなど、環境に配慮した設計となっている。

また、沿線以外の住民には、路面電車ができてもあまりメリットがないという意見もある。確かに、路面電車の路線そのものだけを見れば、沿線以外の地域にあまり恩恵がないという考えが浮かんでも不思議ではないが、前述のパークアンドライドはそのための解決策でもある。路面電車沿線に居住地がない人が、駐車場まで車で行き、路面電車を利用できるような環境作りは必要である。また、近隣の住宅地へのフィーダー輸送として、小型の路線バスを運行することで、免許を持たない高齢者や子供たちでも利用することが可能となる。

バスとの連携は特に重要だ

地元バス事業者との連携は、新路線建設という大きなプロジェクトの中でも、特に重要な位置付けとなる。もともと市民の足として長年生活を支えてきた地元バス会社からすれば、路面電車開業に伴って利用客数が減少することになれば、当然ながら面白くない。かといって、相手をライバル視して競合路線を多く抱えた場合、乗客の奪い合いによって双方が疲弊する危険性がある。

路面電車の建設がある程度進んだ段階で、路線網を再編して競合区間を極力減らし、両者をきちんと接続させる結節点を設けることで、ウィン・ウィンの関係を築き上げていけるよう、きちんとした協議をしなければならない。前述の通り、路面電車の沿線でも末端の住宅街などにおいてバスの柔軟な運行は必要不可欠なので、路面電車の駅へ接続する路線網の整備も重要となる。

超高齢化社会を控えた日本では、今後ますます免許返納者数が増えていくことが予想され、都市交通の重要性は高まっていく。そのためにも、お互いをどのような形で棲み分けていくか、きちんとした話し合いが重要となる。

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