自衛隊は、なぜジブチを重視しているのか 海上自衛隊トップに直撃インタビュー
艦船や航空機は極めて長い期間で使うもの
――アジアの安全保障環境をめぐり、過去5年間をみても著しい変化が起きている。中国も北朝鮮も一層攻勢を強めている。海上自衛隊として、どのように対処していくのか。今後の計画についてまず伺いたい。
まず情勢の見通しを話したい。私は1981年に海上自衛隊に入隊した。当時は冷戦の真っただ中だった。おそらく海上自衛隊の諸先輩はその頃、現在の北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験、また東シナ海や南シナ海における中国海軍の進出等を予測していた人はほとんどいなかったと思う。しかし、艦船や航空機は極めて長い間、たとえば、艦船は30年、40年という長期間で使うものである。
40年後の世界を今、正確に予測するのは極めて難しい。このため、従前続けてきたこと、たとえば、周辺海域における警戒監視や、自然災害などに対処する能力は引き続き保有していかなくてはならない。もちろん大前提となるのは有事への備えだ。
それに加えて、近年では新たなドメイン(領域)での対処が求められている。たとえば、サイバーや電磁スペクトラムなど、新しい要素が加わってきている。つまり、限られた資源の中で、これまで必要とされたことを続けつつ、新しい要素を取り入れていかねばならないということが大きな課題の1つである。
――電磁スペクトラムとは、EMPと呼ばれる電磁パルスのことですね。他の課題として何があるか。
もう1つは、日本においては少子化が進んでいること。それゆえ、任務が増大するからといって海上自衛隊の人員を大きく増やすということは極めて難しい。任務は確実に増えているが、限られた人員でどう対応していけるかが1つの課題となっている。
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