スバル、新社長に託された「昭和の会社」改革 台数頭打ちの中、新たな強みを打ち出せるか
今回、吉永社長は会長兼CEOに退くが、代表権を持ち続ける。これについて吉永社長は、「企業体質の問題から逃げずに責任を持つ」と述べ、二頭体制ではないことを強調する。今後は、販売台数やリコールの増加で業務がひっ迫している国内販売店(「販売店が悲鳴、スバルが直面する新たな試練」)への対応や、古い体質を革新していくための体制づくりを、会長として担うことになりそうだ。
ほかにも課題はある。これまで急成長を続けてきた世界販売は2017年度、106.7万台と0.2%の増加にとどまる見込みだ。米国では、全体需要が頭打ち。さらに世界最大の市場となった中国は、同年度の販売見込みはわずか2万2000台と減少に歯止めがかからない。日本からの輸入で高い関税がかかることや、他社に比べ販売奨励金を絞っていることなどが背景にある。奇瑞汽車と合弁会社を作って現地生産する計画があるが、進捗は見られない。台数を追わないスバルが、どのように新たな強みを作っていくのか。
自動車業界は今100年に一度の大変革期に直面している。EV(電気自動車)や自動運転、コネクテッドなど「CASE」と呼ばれる新領域で、スバルが際立てるのかも不透明だ。トヨタ自動車や日産自動車などカーメーカー各社がこぞって新技術や新製品を出展した米ラスベガスでの家電見本市「CES」には、吉永社長は「行ってないんです、感度が低いかも、反省」と漏らす。
新たな「スバルらしさ」を確立できるか
もちろん、トヨタアライアンスのメンバーとして、EVやコネクテッド技術提携を進めていくことは可能だ。トヨタとは2005年の資本・業務提携以降、HV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)、スポーツカーのBRZ/86にかんする技術供与や、EVの基盤技術を各カーメーカーと共同で研究する「EV C.A. Spirit」での提携など、関係を着実に深化させている。とはいえ、トヨタにおんぶに抱っこ、というわけにもいかない。台数を追わないスバルとしては新たな強みを作らなければ、成長は止まってしまう。
吉永社長もその必要性は感じている。「若手の人たちには新領域について、どんどん議論をしてもらっている。われわれがどう変わっていくかを考えるタイミング」と最近の取材では強調していた。
今夏に発表する新中期経営計画で、中村新社長は「スバルらしさ」の方針をどのように打ち出すか。「若手の議論についていけてないところもある」と中村氏は笑うが、その重責は本人が一番わかっていることだろう。米国で培った外からの視点を持ち込み、スバルを「昭和の会社」から「真に正しい会社」に生まれ変わらせることができるか。その手腕が注目される。
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