小田急「GSE」と新幹線N700Sの意外な共通点 文系でもわかる「アクティブサスペンション」
500系で採用されたセミアクは減衰力を4段階で切り換えるもので、編成内で動揺しやすい先頭車とパンタグラフ搭載車に搭載された。以後、東海道・山陽新幹線の700系のグリーン車とパンタグラフ搭載車、先頭車にも採用。300系にもセミアクの搭載改造を実施した。また、700系をベースとした九州新幹線800系では全車にセミアクを搭載している。JR東日本の新幹線電車では、現在E2系の2〜8号車、E3系の12〜16号車および、「とれいゆつばさ」「現美新幹線」の12〜15号車、そしてE7系、W7系の1~11号車にセミアクが搭載されている。
在来線車両ではJR東海が700系用と同じタイプのセミアクを313系5000番代に搭載している。313系5000番代はセミアク非搭載車との併結列車が多数運転されており、乗り心地の差を体感することが可能だ。
セミアクのメリットは、実績のあるオイルダンパをベースとしているためメンテナンスが容易で、故障した場合は普通のオイルダンパとして使用することができ、フェールセーフ性に優れていることだ。それにシステム的にも比較的シンプルで軽量、低コストでもある。
東海道・山陽・九州新幹線N700系に搭載されたセミアクは、比例電磁式リリーフ弁を採用して減衰力を無段階に制御。乗り心地が向上した。また、明かり区間(地上)とトンネル区間での動作パラメータを自動的に切り換えて、最適化を図っているのも特徴だ。N700系ではこのセミアクを全車両に搭載している。
さらに乗り心地向上を図ったフルアク
フルアクとセミアクの最大の違いは動揺への対処法にある。セミアクは前述の通り動揺を緩和させるものだが、フルアクは動揺の発生方向と逆向きに力を発生させ、動揺を打ち消すことでセミアクよりも乗り心地を向上させることができる。
フルアクにはいくつかの種類があるが、最初に実用化されたものは空気アクチュエータ式と呼ばれるもので、動揺を打ち消す力を圧縮空気で発生させる。
フルアクは500系でも試験されたが、トンネル区間で乗り心地が悪化するという問題があり、この時は実用化を見送った。その後、明かり区間とトンネル区間で動作パラメータを切り換える方法を確立して、世界初の実用化に成功。2002年に東北・秋田新幹線E2系、E3系のグリーン車とグリーン車に搭載されて営業運転を開始した。
空気アクチュエータ式フルアクは鉄道車両が必ず使用している圧縮空気を動力源としており、空気管やホース、空気タンクなど実績のある部品でシステム構成が可能だ。なお故障時のフェールセーフ性を考慮し、フルアクと並行してセミアクを搭載しており、フルアク、セミアク、オイルダンパというバックアップ体制を採っている。
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