小田急「GSE」と新幹線N700Sの意外な共通点 文系でもわかる「アクティブサスペンション」
近畿日本鉄道が2020年に新型名阪特急車両の導入を発表した。この車両は近鉄のエースらしく、豪華な客室が特徴であると同時に、横揺れを低減させるため電動式フルアクティブサスペンション(以下フルアク)が搭載される。
昨年12月にデビューしたJR東日本E353系「スーパーあずさ」にも電動式フルアクが搭載されている。また、3月17日に運行開始する小田急の新型ロマンスカー70000形「GSE」は電動油圧式フルアクを搭載し、今春に登場するJR東海のN700Sにも小型モーターとポンプを用いた油圧式フルアクが搭載されることになっている。
このように優等列車の必須装備となりつつあるフルアクだが、そもそもフルアクとはどのようなものなのか。いまさら聞けない人のためにフルアクについて解説しよう。
セミアクから始まった制振制御
そもそも鉄道車両におけるサスペンションとは何を指すのか。自動車のサスペンションは車体の上下動を緩和させるためにホイールと車体の間にあるものを指すが、鉄道車両でこの役目を果たす軸バネと枕バネ(空気バネは枕バネの一種)のことを国内では一般的にサスペンションとは呼ばない。
一方、鉄道車両の多くは車体が左右に揺れる動揺を抑制するためにオイルダンパが取り付けられている。しかし、オイルダンパの減衰力(動揺を抑制する力)を強くしすぎると低速域での微少な揺れに対しては過剰となり、乗り心地が悪化する。そのため減衰力をあまり高くすることができず、高速走行時の乗り心地が悪化していた。
そこで速度や動揺の大きさに応じてオイルダンパの減衰力を適切に切り換えることで、常に最適な乗り心地を得ることを目的としたのが、セミアクティブサスペンション(以下セミアク)で、1997年に新幹線500系「のぞみ」で実用化された。
セミアクは動揺を検知する左右動加速度センサとセミアクティブダンパ、制御装置で構成されている。500系ではセンサが検知した動揺の大きさに応じて、4段階に減衰力を切り換える。
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