崖っ縁の大塚家具、見えない「復活への道筋」 大型店不振が深刻化、過去最大の営業赤字に
消費者のニーズと店舗構造のズレを埋めきれなかったことに加え、久美子社長が業績悪化の要因に挙げたのがブランドイメージの問題だ。低価格の自社企画商品を展開するニトリやイケアと異なり、大塚家具は客の要望を聞きながら、幅広いブランドや価格帯の中で最適の商品を提案することを強みとする。
「あの(お家騒動の)過程の中で、大塚家具が低価格に行く、サービスがなくなる、という憶測が流れた。誤解が引き続き定着していて、正確な認識にしていかないといけない」(久美子社長)
年間100億円弱の賃料を圧縮
2018年12月期は、売上高456億円、営業利益2億円と黒字転換を見込むが、会社の立て直しには厳しい道のりが待ち受けている。黒字回復の切り札に掲げるのがコスト削減だ。
特に大きいのが賃借料の圧縮。郊外大型路面店を軸に店舗を展開するニトリなどとは対照的に、大塚家具は都心の一等地や、郊外でも駅前などの便利な立地に多数店舗を構える。それだけに同社が支払う賃借料は年間94億円(2017年12月期)に及び、経営を大きく圧迫していた。
こうした高コスト体質から脱却するため、家主との交渉により大型店の面積縮小を進めている。2017年12月期に店舗規模の適正化に伴う損失を引当金として計上したこともあり、2018年の賃借料は78億円にまで圧縮できる見込みだ。
中には、賃貸借の契約期間が終わるまで賃料を下げられない物件もある。そこでカギを握るのが、2017年11月に発表した貸会議室を運営するティーケーピー(TKP)との資本業務提携。新宿や仙台の店舗では、販売フロアの縮小で空いたスペースをTKPとの合同イベントホールとして活用することが決まり、大塚家具が負担する賃料を多少軽減する効果が期待できる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら