受動喫煙対策案が後退、東京五輪は「煙の中」 30日に公表した厚生労働省案は大幅後退
望月氏は「たばこのない空間でオリンピックを迎えようという目的は、これでは達成できない。日本が悪い例を世界に示してしまう懸念がある」と話す。
規制派の自民党参院議員・古川俊治氏は、この骨子は「やむを得ない妥協点」だったと認める。医師でもあり弁護士でもある古川氏は「厚労省として、法律を作りたいということは、たばこ推進派にも配慮したものにしなければならないとの認識だろう」と述べた。
古川氏も、このままでは2020年東京オリンピック・パラリンピックが過去10年の開催国と比べ、たばこ規制という観点からは「相当見劣りするものになる」との認識だ。
厚労相は前任より消極的
昨年までの厚労省案がたばこ規制に厳格だった理由の1つは、8月まで厚労相だった塩崎恭久衆院議員が妥協を許さない規制派だったことがある、と多くの関係者が指摘する。後任の加藤勝信厚労相は、たばこ規制により消極的だといわれる。
小規模飲食店などで構成される東京都飲食業生活衛生同業組合の宇都野知之事務局長は、今回の骨子について「一歩前進。昨年までと比べれば天と地の違い」と歓迎する。宇都野氏は、規制が緩くなった理由について「業界が一致団結して署名活動などした効果が出た。理解いただけたと思う」と話す。
同組合の会員は約1万店、業態はスナック、レストランなどでほとんどが100平方メートル以下の小規模店だという。
古川参院議員によると、3月上旬には法案が国会に提出される見込み。それまでに自民党内では禁煙措置の対象から除外される小規模店の定義などについて議論が行われるという。
これまでに「150平方メートル以下」を除外する案などが出されているが、東京都の調査によると、都内の飲食店の9割は150平方メートル以下とされ、この基準が適用された場合、都内のほとんどの飲食店が規制の対象外となる。
古川氏は「これから議論になるところだが、150平方メートルでは広過ぎるだろう。ただ、どこかで線を引かないと、喫煙室を設置できない、小さいスナックにとって、禁煙措置はつぶれろということになってしまう」と話した。
(宮崎亜巳 編集:田巻一彦)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら