韓国人がガッカリの「最低賃金」引き上げ余波 真冬の韓国で平昌冬季五輪以上に熱い話題

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韓国の全国紙記者は言う。「アルバイト斡旋会社の調査では雇用主の70%以上が今回の引き上げに不満を表わしていて、引き上げが始まればアルバイトの数を減らすと答えた人は80%もいました。政府は2020年まで最低賃金を1万ウォン(約1000円)にまで引き上げるとも言っていますが、これももう少し後ろに延ばしてほしいという声が高い。日本のようにゆっくりと少しずつ引き上げるのが最善です。しかし、韓国の今までの最低賃金はOECD(経済協力開発機構)の中でも低く、早い成果を求めすぎた結果、急激な引き上げは逆に双方の負担になってしまい、人員カットなどで仕事も減り始めているという指摘が出始めています」

今年から時給は約753円

実際のところはどうなのだろう。観光客に人気のあるソウルの観光スポット「東大門」で話を聞いてみた。東大門は、手頃な価格で流行りモノやユニークなデザインの服が買えることで有名なファッションの街だ。いくつもの店がテナントを構える複合ビルで働く数人のアルバイトに訊いてみたが、みな、賃金は今年からは7530ウォンに引き上げられたと口を揃え、仕事の時間も削られることはなかったという。

ここで働く学生(22歳)のひとりは、「今年から時給は7530ウォンに上がりました。仕事の時間も削られることもなくて、私はラッキーです」といいながら、「でも、周りの友人の中にはバイトしていた食堂から解雇された人もいます。バイトは、ネットでアルバイトの斡旋会社から探しますが、人づても多いです。最近だと、わりのいいバイトをしている人が5万ウォン(約5000円)~20万ウォン(約2万円)くらいの紹介料をもらって知り合いにつなげるシステムが主流ですね」

「最低賃金引き上げは今までが安すぎたから上げてもらわないと困りますよ。雇用側がもっと工夫してくれればいい。だって、日本はもっと高いのでしょう?」そう訊くので、昨年の10月から東京都は958円になったと返すと、「東京の最低賃金ぶんだけもらえても韓国だと割のいい仕事ですよ。ここは観光地だから、最近は中国語が話せる中国人留学生のアルバイトが増えていて競争率が高くなりました。働き口を探すのもさらに厳しくなっています」

また、伝統市場の建物に入っている子供服を売る店主は、「うちはアルバイトを雇用していないから、直接影響はありませんけど、清掃業とか管理業者に支払うお金が上がるから、管理費は物価や最低賃金が上がる度に上がって、今回もどかんと上がって大ショックよ」

そう苦笑いしていた。

韓国の自営業では人件費が25%、賃貸料が8%ほどを占めると言われている。

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