中国でIT人材の「争奪戦」が激化する事情 トップクラスの給与水準は米西海岸に迫る

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調査会社プレキンによれば、大中華圏へのベンチャーキャピタル投資は昨年、前年比35%増の650億ドル超に上り、史上最高を記録。北米の770億ドルに次ぐ規模となった。

中国の習近平国家主席は昨年の共産党大会で、伝統的な経済とインターネット、ビッグデータ、AIとの統合を推進すると語った。

これは、ITやロボット工学、エコカーといった分野に特に重点を置くことで、中国経済をバリューチェーンの上流に押し上げることを狙う政策の一環だ。

中国政府はまた、国家規模で人を追跡するため、顔認証などのテクノロジーの使用を積極的に後押ししている。これは治安向上と犯罪減少に寄与すると当局が強調する一方、人権擁護団体は、監視大国による政策の一部であり、活動家や反体制派に対して用いられると主張する。

最も急成長しているテクノロジー企業の中に、北京に拠点を置くAI新興企業のクラウドマインズがある。同社は今年、現在400人いる社員数を40%近く拡大する予定だと、人事部長のアリーナ・リー氏はロイターに語った。

アリババが西北地区の本部を陝西省西安に設置するなど、テクノロジーブームは内陸部の都市にも広がっている。また、アップル<AAPL.O>やクアルコム<QCOM.O>といった米テクノロジー企業は南西部の貴州省に重点的に投資している。

賃金上昇

テクノロジー分野における雇用と賃金上昇の影響は、中国の経済全体にも現れ始めている。

数年間停滞していた同国の可処分所得の伸びが、昨年は7.3%に加速したことが、先週発表された公式データで明らかとなった。

だがさらに大きな伸びを記録したのは、北京や深セン、上海や杭州といった急成長するテクノロジー分野の拠点都市で、米サンフランシスコ同様、平均給与との格差拡大という傾向を映し出していた。

中国の労働市場が全て順風満帆というわけではない。

高給なテクノロジー分野の職は、労働人口全体のほんのわずかを占めるにすぎず、製造業とサービス業の両方において雇用が減少していることが公式調査によって明らかとなっている。

テクノロジー業界の高い給料は、中国の標準的な所得レベルをはるかに上回っている。国家統計局によると、同国では、昨年の1人当たりの平均的な可処分所得はわずか2万5974元(約45万円)だった。

「2018年には、中国で820万人の新卒者が生まれることを忘れてはならない。彼らは職を必要としている。したがって、十分な職を生みだす圧力は、まだ存在すると思う」と、HSBC(香港)の大中華圏担当チーフエコノミスト、Qu Hongbin氏は語った。

(Stella Qiu and Elias Glenn 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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