中国でIT人材の「争奪戦」が激化する事情 トップクラスの給与水準は米西海岸に迫る
テクノロジーが中国の成長を担う主なけん引役であることは間違いない。国家統計局のデータによると、中国の情報テクノロジー(IT)・ソフトウエア分野の第4・四半期生産は前年同期比で33.8%増加した。第3・四半期は29%の増加だった。
テクノロジー分野の求人サイト「100offer.com」によると、中国のAI関連企業で働くトップ卒業生の年収は30万─60万元(約520万─1000万円)。一方、3─5年の経験を持つチームリーダーの場合は、年収150万元(約2600万円)を超えることもある。こうした職の多くは、北京または深センにある。
給与水準は2014年以降、ほぼ倍増
この業界の給与水準は2014年以降、ほぼ倍増した、と前出のLiang氏は指摘する。
一方、米シリコンバレーを擁するサンフランシスコでは、求人サイト「Indeed.com」によると、AIリサーチャーの年収は平均11万2659ドル(約1200万円)、機械学習のエンジニアのそれは15万0815ドル(約1600万円)となっている。
米国に留学し同国で働いているが、トランプ大統領の移民政策により査証(ビザ)を維持できるか不安に思っている中国人ソフトウエア開発者にとって、帰国は魅力的な選択肢となりつつある。
中国のテクノロジー企業は、米国に留学している中国人学生の採用を積極的に行っており、多くはトップの人材を勧誘するためシリコンバレーにオフィスを構えている。
AIブームは、中国で一部のエンジニアを新たな技術習得に向かわせている。
「AI分野に転職したことで給料が倍になった」と語るのは、北京のAIエンジニア、Songさん(26)だ。AI訓練コースを自ら受講後、年収は約5万5000ドル(約600万円)になったという。
また、中国のニュース収集アプリ「今日頭条」を制作する「北京字節跳動」でAIエンジニアとして働く26歳のジョージさんは年収約6万ドルだが、ほかに良いところがあれば転職するかもしれないと話す。
資金流入も続いている。