相鉄の「新型車両」は、いつ都心を走れるのか 東横線渋谷直通に不安要素、小田急も強敵
この車両が完成したのは昨年の7月。山口県下松(くだまつ)市にある日立の工場から相鉄の車両基地までJRの線路で運ばれ、道中、多くの鉄道ファンにその姿を目撃されている。新型車両は鉄道会社の車両基地に到着した時点でお披露目となるケースが多いが、今回は5カ月近くを要している。相鉄側は、「信号や保安設備に適合するかきちんと確認して、営業運転開始日が決まってから発表したかったため」と説明する。では、なぜ確認作業にこれほど時間がかかったのか。それは、20000系は従来の相鉄の車両にはない新しい使命を帯びているからだ。
東急線乗り入れの尖兵に
鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は現在、相鉄の西谷駅とJR東海道貨物線の横浜羽沢駅付近に新設される羽沢横浜国大駅間の約2.7km、さらに羽沢横浜国大駅から東急・日吉駅までの約10kmを線路でつなぐ工事を進めている。完成すれば相鉄とJR、そして相鉄と東急がレールで結ばれる。相鉄は2019年度下期にJR線、2022年度下期に東急線への乗り入れをそれぞれ計画している。
もともとは2015年度に相鉄・JR直通線が完成する予定だったが、2度の延期を経て、このスケジュールとなった。当初計画からずいぶん遅れてしまったが、それでも「これ以上遅れることはない」(鉄道・運輸機構)として、工事は着々と進んでいる。
東急の車両は相鉄よりも小型なため、20000系もほかの相鉄の車両よりも小ぶりになった。信号や保安設備への適合の確認に時間を要したのはそのためだ。今後はJR線乗り入れ用の車両も新たに開発するが、相鉄線にはJRの「E231系」「E233系」といった通勤車両をベースに開発された車両も走っており、JR線乗り入れは東急ほど困難ではない。そのため、東急線に乗り入れる20000系を先に開発するということになった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら