止まらないドル安円高、賃上げ交渉に影響も

日欧「反撃発言」に注目

現地生産化などで耐性がついてきたとはいえ、円高は日本企業全体の業績に対して依然ネガティブ。12月日銀短観の大企業・製造業の想定為替レートは2017年度が110.18円。下期は109.66円となっている。大和証券が主要事業会社200社を対象に行った試算によると、1円のドル安/円高は年間ベースで経常利益を0.4%押し下げる。

企業業績が圧迫されれば、春闘の行方にも影響する可能性がある。「これから賃上げ交渉が本格化するが、あまり円高に行くと為替感応度の高い輸出企業などに渋い回答の口実を作ってしまう。安倍政権が求める3%の賃上げにも説得力がなくなる」(国内信託銀)という。

口先介入があるかも

春闘の動向は、デフレ脱却宣言や消費増税の最終判断にも関わる。市場では「政府として円高はうれしくない。スピードを伴って108円を割り込んでいけば、麻生太郎財務相などから『速すぎるのは良くない』と口先介入があるかもしれない」(同)との見方が浮上してきた。

ただ、今回の円高の要因はドル安だけに、日本の当局者のけん制が効果を発揮するかは未知数。「今後数日かけて米国の主要閣僚などから修正するような発言が出るかが鍵となる。もしそれがなければ、ドルはもう一段下値を探る動きとなる」(シティグループ証券の外国為替・新興国市場本部長、狩野弘一氏)との指摘もある。

もうひとつの注目は、25日の欧州中央銀行(ECB)理事会。「ユーロ高けん制が入り、ユーロが売られる可能性が高いが、ドル/円はここで110円台にしっかり戻せるかが重要。チャンスがある時に戻せないと、潮が引くように、ドル高に賭ける人たちがいなくなりそうだ」(国内金融機関)とされ、関心が高まっている。

(杉山健太郎 編集:伊賀大記)

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