韓国・北朝鮮の合意、韓国国内で厳しい批判に 文大統領がとる融和路線にも影響する可能性

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1月18日、平昌冬季五輪の開会式で統一旗を掲げて合同入場し、アイスホッケー女子で南北合同チームを結成することを決めた韓国と北朝鮮の合意が、韓国国内で厳しい批判にさらされている。写真は17日、韓国・鎮川のトレーニングセンターを訪問した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領。聯合ニュース提供(2018年 ロイター)

[ソウル 18日 ロイター] - 平昌冬季五輪の開会式で統一旗を掲げて合同入場し、アイスホッケー女子で南北合同チームを結成することを決めた韓国と北朝鮮の合意が、韓国国内で厳しい批判にさらされている。北の隣国に対する韓国人の意識の変化を浮き彫りにした格好だ。

韓国内の反応は、朝鮮半島統一の理念への共感が、過去の世代と比べて薄れていることを示していると、専門家は指摘する。こうした世論環境の変化は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がとる北朝鮮との融和路線にも影響する可能性がある。

やりたい放題

北朝鮮の平昌五輪参加は、この機会を北朝鮮の核・ミサイル問題の進展に向けた外交の突破口として利用したい考えである文大統領の「勝利」とみられている。また、北朝鮮が新たな兵器実験を行って五輪を台無しにすることへの国内の懸念を和らげる効果もある。

だが、同五輪で両国の融合を図る文大統領の決断は、以前から大統領を批判してきた保守派だけでなく、大統領の主な支持基盤である若者層からも大きな反発を呼んでいる。若者は、北朝鮮が何のとがめも受けないまま主役の座を奪おうとしていることに困惑している。

「北朝鮮は昨年、ミサイル発射一辺倒だったのに、突然五輪に参加するため韓国に来たいと言う。誰がそれを決めるんだ」と、通訳のKim Joo-heeさん(24)は底冷えがするソウルでコーヒーを飲みながら憤った。「北朝鮮は、やりたい放題やれる特権でも持っているのか」

大統領府は、2月9日に始まる五輪に向けて南北の当局者が事務的調整を進めるとしたが、それ以上のコメントは避けた。

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