韓国・北朝鮮の合意、韓国国内で厳しい批判に 文大統領がとる融和路線にも影響する可能性
今回の合同参加計画が明らかになって以降に公表された世論調査は、韓国側の提案に対する国民の支持が限定的であることを示している。
韓国の世論調査会社リアルメーターが18日に公表した調査によると、開会式で統一旗を掲げて合同入場する計画を支持すると答えたのは4割程度だった。
17日に南北の合同行進案などが発表されると、ソーシャルメディア上で失望を表明する人が相次いだ。統一旗は「私の旗じゃない」とのコメントや、「平昌五輪が平壌五輪になってしまった」と嘆く声も聞かれた。
2つの異なる国
北朝鮮との合同チーム結成が決まったのは女子アイスホッケーだけだが、韓国チームのコーチや選手からは、実力の劣る北朝鮮選手を短期間に組み入れようとすればプレーが邪魔されるとして、批判の声が上がった。
文大統領は17日に同チームと面会し、統一と希望を示すことが勝利より重要な場合もあり、北朝鮮選手を受け入れることで「比較的人気のないスポーツ」にも注目が集まると述べて、選手たちの反発を和らげようと試みた。
高麗大学の北朝鮮専門家、南成旭(ナム・ソンウク)教授は、韓国選手に計画の変更を強いた大統領は「不公平」と受け止められたとみられると指摘する。
「昨年の大統領選で文在寅に投票した人は、公平さや努力が評価され報われる、それまでと異なる社会を求めていた。だが今回、文政権は状況を理解できず、支持者も含めて多くの人を失望させた」
1950─53年の朝鮮戦争や、その後の冷戦を経験していない若い世代の韓国人は、その前の世代と比べて北朝鮮とのつながりが薄く、朝鮮半島の統一への意欲も低い可能性がある。
「間違いなく、私たちは2つの別々の異なる国だ」と、事業開発業界で働くLee Seung-kunさん(26)は言う。「誰もそれを疑っていない。だから、『1つの国』として五輪競技に参加することは、理論的につじつまが合わない」