キットカット、世界初「ルビー」チョコの狙い 「高級化」と「多品種化」戦略の背景にあるもの

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キットカットの売上高は公表されていないが、英調査会社ユーロモニターによれば、2017年の国内でのキットカットブランド全体の売上高は188億円と、この5年間で3割ほど増加した。

ネスレ日本はこれまでに、わさび味や日本酒味など350種類以上もの種類のキットカットを発売してきた。「(ルビーチョコレートのような)高価格帯の製品が成長を牽引しており、1年間に出る30~40種類のキットカットの新製品の中で、高価格帯の製品は半分を超えている」(ネスレ日本)。

2000年からフレーバーを展開

「キットカット ショコラトリー」の銀座本店。開店から30分で「サブリム ルビー」65本は完売していた(記者撮影)

ネスレ日本は、新しいものが好きな日本の消費者に合わせる形でキットカットの多くのフレーバー展開を行ってきた。

最初のフレーバー展開は2000年のストロベリー味だった。

それまではキットカットが多数入った大袋をスーパーで販売するのが主だったが、商品の改廃が激しいコンビニが今後重要な販路になっていくと位置づけ、小分け製品の多品種展開で対応するようになった。

だが、国内市場は少子高齢化が進み、胃袋のサイズも数も減っていく。基本的には、製品の販売単価を上げて利益を確保していくしかない。そこで同時に力を入れてきたのが高価格帯のキットカットの強化だ。

2014年1月に1号店をオープンさせた、高価格帯製品のみを取り扱う「キットカット ショコラトリー」は着々と店舗数を増やし、現在は百貨店内などに7店舗を構える。有名パティシエの高木康政氏とコラボするなどして認知度の向上を図っている。

さらに、韓国向けには2016年10月から一部の高価格帯製品の輸出を開始。翌2017年10月にはソウルで日本製キットカットの専門店をオープンさせている。訪日客にお土産としてしか販売できなかった日本独自のキットカットを現地でも売り込むほか、同時に認知度を高めさらなるお土産需要も喚起する狙いだ。

こうした需要増に応えるため、ネスレ日本は2017年8月に、神戸でキットカットの新工場を稼働させている。少量多品種生産が可能な、高価格帯製品専用の工場だ。

「海外にはないフレーバーも多く、特に高価格帯製品は訪日外国人観光客のお土産としての引き合いも強い」(ネスレ日本の竹内雄二ビジネス開発部長)。

「サブリム ルビー」のようなチョコレートも、国内での売れ行き次第では今後の展開としてアジア各国への輸出も視野に入れているという。第4のチョコレートであるルビーチョコレートを起爆剤に、キットカットの高価格帯シフトをさらに加速させることは出来るのか。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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