JRの自然災害トラブルは私鉄よりも多いか? 新幹線も雪に悩む、鉄道各社を"徹底"比較
営業エリアが広ければ、それだけ自然災害に遭遇する確率は高まる。そこで、各鉄道事業者における自然災害を原因とする輸送障害件数を営業キロで割った、営業キロ比での件数を算出してみた。営業キロが5km未満の規模が小さい鉄道事業者は除外した。
ランキングの結果は、1位福島交通(福島県)、2位くま川鉄道(熊本県)、5位錦川鉄道(山口県)、7位万葉線(富山県)など地方都市の鉄道事業者が上位に数多く並んだ。東北地方や北陸地方は冬季に大雪で悩まされるし、九州や中国地方は近年、夏季に豪雨に見舞われることが多い。地方の鉄道事業者が上位に多く見られるのは、ある意味仕方ないことといえる。
JRでは65位にJR東海(在来線)が初めて顔を出す。次いで70位にJR九州(在来線)、78位JR北海道(在来線)、91位JR東日本(在来線)、94位JR四国、95位JR西日本(在来線)、103位JR九州(新幹線)、106位JR東海(新幹線)、114位JR貨物、119位JR北海道(新幹線)121位JR西日本(新幹線)、123位JR東日本(新幹線)という順になった。
JRよりも順位の低い鉄道事業者は、大都市圏を営業基盤とする大手私鉄、公営の地下鉄、路面電車が多数を占め、そのすべてが件数ゼロ。逆に言うと、地方の鉄道事業者であるほど自然災害に見舞われる可能性が高い。
全体的には自然災害トラブルは減少傾向
輸送障害にも原因はいろいろあり、車両故障や係員のミスによるものは自助努力で減らせる。人身事故に起因する輸送障害もホームドア設置などである程度は防げる。では自然災害を原因とする輸送障害は減らせるのか。
JRの在来線よりも新幹線のほうが営業キロ比の発生件数が少ないことからわかるとおり、線路などのインフラがしっかりしていれば豪雨で地盤が崩れるようなリスクは少ない。JR東海の新幹線雪対策のように自助努力で遅延時間を減らすこともできる。
鉄道事業者は自然災害への対策を積極的に講じている。JR東日本の在来線を例に取れば、自然災害を原因とする輸送障害は2012~2016年度の5年間で431件から294件に3割ほど減少した。鉄道事業者全体でも同時期に2014件から1624件まで、2割近く減らしている。
弓なりに約3000kmの長さがある日本列島。多様な気象条件を抱え、災害の多い国だ。台風や雪害に加え、近年はゲリラ豪雨などで自然災害のインパクトが高まっていることを考えれば、どの鉄道事業者も奮闘しているといえる。それでも、信越線の乗客閉じ込めのようなトラブルは起きる。自然災害との戦いにゴールはない。
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