仕事のやり直しが多い人は「トヨタ式」に学べ 始める前の準備に時間と手間をかけよう

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もう1つ気を付けたのは「曖昧な表現」や「専門用語」への注意でした。たとえば、顧客が「子ども部屋はもうちょっと広いほうがいいなあ」「キッチンをもう少し使いやすくして」という要望に出てくる「もうちょっと広いほう」「もう少し使いやすく」は主観的な表現ですから、人によって言葉のとらえ方も違い、ミスが生じるおそれがあります。

そんなときにはできるだけ「数字」を交えて行き違いが起こらないように気を付けました。もちろん専門用語もできるだけわかりやすく言い換えて、顧客に伝わっているかどうかを確認するようにしました。「曖昧語」や「専門用語」はいつだってミスの原因になります。具体的にわかりやすく話すこともA社は心掛けるようにしました。

こうして家族の意見がまとまった段階で初めてA社の営業マンは家族みんなの希望や、家族と一緒に完成させたイラスト風の設計図を設計部門に渡し、そこから設計図の作成に移ることにしました。

この段階ではA社の営業マンは家族の希望をしっかりと把握していますし、イラスト風の図面もあるだけに、設計部門に対して的確な依頼をすることが可能になります。

こうした改善を積み重ねた結果、A社での設計のやり直しは格段に減っただけでなく、契約から着工、完成に向かって下がり続けていた満足度も改善され、顧客が納得する家を納得する価格で提供するという目標に近づくことができました。

仕事のスタート時点、途中、最終段階に気を付けよう

やり直しは誰にとっても面倒なものです。最初から「ダメならやり直せばいいや」といういい加減な気持ちでスタートしているならともかく、ほとんどの人は「いいものをつくろう」という思いで、それなりの時間をかけ、コストもかけて仕事を完成させています。

出来上がったものに対する誇りもあるはずです。にもかかわらず、「これダメ、やり直して」と言われると、「ガーン、けっこう時間かかったのに」となるのは当然のことと言えます。

思わず上司の指示の仕方を恨んだり、顧客のわがままを嘆きたくなったりするものですが、いくら不満や不平を口にしたところで最初にかけた時間が戻ってくるわけではありません。やり直しというムダを排除するためには、A社のように「なぜやり直しが起きるのか?」という理由を調べ、やり直しをなくすための改善策を考え実行することが必要なのです。

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