聞かれたらマズイ社内用語
さて、このように日頃、何げなく使っている、会社独特の方言にあたる「社内用語」。
ここまで書いてきたように、社員同士の絆を高めるために必要な面がありますが、社外の人がかかわる仕事で社内用語を連発するのは考え物です。何げなく使ったものの、社外からすれば「???」となるのが明らか。まして、社外の人を揶揄する用語であれば、「この会社、感じワルい」と悪い印象を持たれるリスクもあります。
たとえば、取引先を社内で「売り上げ」や「利益」などで分類している会社。そして、長期間仕事をしていない取引先に対して「落ちS」などと呼んでいるのを外部の人に聞かれたら、どうでしょうか?
「社内の取引先を、仕分けする様子が想像できて、嫌な気持ち」
と感じるかもしれません。社内の道理を開示してプラスはあまりありません。こうしたことから、社内用語に抵抗を感じる若手社員が増えています。
「社内と社外に対して言葉を使い分けるのが面倒」
「表裏のある行動を取っているようで罪悪感を感じる」
とネガティブな意見がいくつも出てきました。
同じGMといっても大違い
社内用語については、職場の同僚同士で用法についての認識がずれている場合もあります。例えば、取材したネット系企業では、世間でいう「部長クラス」の役職の肩書がジェネラルマネジャー。そこで略して「GM」と呼ぶのが当たり前。ところが、昨年にM&Aで買収されて、この会社に統合されたD社では課長クラスの肩書をグループマネジャー、略してGMと呼んでいました。ゆえに元D社の社員たちは
「●●GMからの指示で取り組んできたのですが」
と職場の課長クラスを呼ぶと職場の同僚たちが「違うよ。●●さんを『GM』と呼んだら、周囲が彼が偉くなったのか?と誤解するからやめてほしい」と指摘。統合元の会社で使われている社内用語に合わせるべきだと言います。「もっとも」な話ではありますが、元D社の社員にしてみれば、長く使ってきた社内用語を否定されたことで、「虐げられている」と感じるときもあるようです。
さらに、混乱を来すことに、会議のことをグループミーティングと呼んでいること。これを略してGMと呼ぶ社内用語も存在するのです。あるとき、システム部門のGM(ジェネラルマネージャー)がメンバーに対して
《来週の月曜日の夕方、大崎GM、必参加》
と暗号のようなメールが配信されました。もともと、このGMは短文で言いたいことだけメールする習性がある人なのですが、この短文にはメンバーは混乱しました。
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