自動車メーカーがオートサロンに本腰のワケ 各社が「一般向け」狙いでカスタムカーを強化

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トヨタが世界初公開した「GRスーパースポーツコンセプト」。市販化に期待が高まる(記者撮影)

自動車メーカーはモータースポーツの発信にもオートサロンを活用する。トヨタはWEC世界耐久選手権で登場する「TS050 HYBRID」とほぼ同じパーツでできている「GRスーパースポーツコンセプト」を世界初披露。GAZOORacingカンパニーの友山茂樹プレジデントは、「現役のスポーツカーを使って市販車を作る新しい時代が始まっている」と、市販化への意気込みを語った。

オートサロンの何が車ファンを引き付けるのか。来場者は男性が圧倒的に多いが、屈んでホイールの写真を熱心に撮っている女性ファンもおり、年齢層も多岐にわたる。海外からの来場者も目立つ。タイのテレビ局スタッフは、「タイではカスタム文化はあまりないので興味深い」と強い関心を示す。

オートサロンの会場では凝ったデザインや色のホイールが目を引く(記者撮影)

出張で来たという中国のホイールメーカー社員は、「オートサロンは中国でも有名。ホイールのデザインや色も豊富で面白い」と話す。実際、会場には数多くのアフターパーツメーカーが出展するが、ひときわ目立つのが、ホイールのブースだ。凝ったデザインや色のホイールが所狭しと並ぶ。

アルミホイールメーカーのウェッズは、アジアなどに輸出もする日本メーカー。軽自動車から高級車まで、さまざまな車に対応できるよう多ブランドを展開し、価格は1本2万~10万円台が相場だ。目に付くパーツなので個性を出しやすく、がらっと印象を変えることができそうだ。オートサロンはカスタムパーツメーカーにとって海外への発信の場でもある。

"カスタム文化"を新車販売の起爆剤に

2017年の国内新車販売は523万台あまりと前年を5%上回った。2年ぶりに500万台を超えたとはいえ、人口減少に伴い今後市場は縮小していく。そんな時代を見据え、自動車メーカーはオートサロンに商機を見出している。車を自分好みにアレンジする楽しさを訴求し、車を魅力的に思うファンを増やすことが狙いだ。また、1台当たりの収益率も高いカスタムカーが売れるようになれば、たとえ台数が減ったとしても、収益を確保できる。

かつてはやった本格的な「改造」は下火となりつつあるが、手軽かつ安価に自分の好みに合わせた「カスタム」の選択肢を増やそうと、業界各社の取り組みは熱を帯びる一方だ。自分の大切な車をファッションのように楽しむトレンドが、再び盛り上がるかもしれない。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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